コラムを読むこと= 著者とのおしゃべり?
何度も読んでいるお気に入りはたくさんありますが、自粛ムードの今、読み返してみて特に心に響いたのは、「人が楽しく毎日の暮らしを営んでいるところ」という章。
吉田健一の「戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである」という言葉を引用し、人間としての喜びを感じながら都市に生きるとはどのようなことなのかが書かれています。
コロナの影響でさまざまなことを制限され、フラストレーションが溜まるなか、「私にとっての“人間的暮らし”って何だろう?」と、落ち着いて基本に立ち返るためのヒントを与えてもらった気がしました。
余談ですが、現在発売中のCREA6・7月合併号「偏愛のすすめ。」を読んでくださったかたの感想に、「最近人と話す機会が減っていたけど、雑誌を読んでいたら、ずっと誰かと会話をしているようで楽しかった」というものがありました。
それと同じで、小西さんのコラムを読んでいると、身の周りのちょっとしたことについて、小西さんと個人的なおしゃべりをし、同じ思いを共有しているような気分になれます。
ほんの1、2ページを読むわずかな時間でも、そういう時間の積み重ねに救われるものですよね。
2020.06.24(水)
文・写真=CREA編集部