がんばれ夫、がんばれはるまき！
保育園に入れても入れなくても、認可でも認可外でも、悩みはある。何が最良の選択で何がカワイソウかなんて、親である私にも、誰にもわからない……そうは思っていても、これでいいのかな？ と時々不安になる。ある日、ちょっとナイーブになった私は夫に「保育園、カワイソウかな……」と漏らした。すると夫は「大丈夫だよ」とこともなげに答えた。あまりに即答なのでびっくりしたが、そう言われると不思議なことに「そうだよね」という気になれた。夫の言葉はきっと、はるまきへの愛に裏打ちされている。誰にもカワイソウなんて言わせない！ だって誰よりもはるまきが好きだから！ と、ポーカーフェイスの裏で思っているに違いない。
それなのに夫は今日も寝ている間にはるまきに顔をバシバシ平手打ちされ、かなりカワイソウな立場だ。がんばれ夫、がんばれはるまき。悩みながらも、育児は続く。
瀧波ユカリ
漫画家。1980年北海道釧路市出身。2004年『臨死!! 江古田ちゃん』でアフタヌーン四季賞大賞を受賞しデビュー。現在も連載中で単行本は6巻まで刊行。エッセイストとしても活躍中。
『はるまき日記』
2010年秋に誕生した娘・通称「はるまき」の育児を1年を通して綴ったエッセイ。漫画家の母と「パソコンでインターネット関連の何かを作る」父のもと、日一日と成長する姿が大胆かつ率直に語られている。ほかの育児本では決して見られないシニカルな着眼点がリアル。家族3人のそれぞれに対する愛情の行き交いが伝わる育児エンタメ・ノンフィクション。
瀧波ユカリ・著 ￥1260(文藝春秋)
2013.01.20(日)
text:Yukari Takinami
photographs:Nao Nakai
CREA 2012年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
この記事の掲載号
CREA 2012年11月号
産める体づくりから職場復帰まで
初めての母になる！
特別定価 670円（税込）
