その頃、楽屋では……
次の準備が進行中!

 公演中、歌舞伎俳優のみなさんはどのような日々を過ごしていらっしゃるのでしょうか。梅枝さんにうかがいました。

「なるべく同じペースで毎日を過ごすようにしています。同じ時間に楽屋入りして同じ時間に化粧を始めて、というように。役によってしたくにかかる時間は異なりますので、楽屋入りの時間はそこから逆算すると自然に決まります」

 次の公演で演じる役が決まると、出番の合間はその準備に取りかかるそうです。

「先輩にお願いして役を教えていただいたり、踊りの先生のところへ行って振りを習ったり。部屋では映像を見たり資料を調べたりしています」

 さらに衣裳や鬘の打ち合わせなども、こうした時間を利用してご自身で行われます。

「細かいところは役者に一任されている部分があって、同じ演目の同じ役でも衣裳の柄や髪の結い方が違ったりするんです。型といわれる演出方法によって大きく違う場合もありますし、役者の個性や好みで微妙に違うこともあるんです」

 演じ手自身の個性に加えてそうした違いが全体にも伝播して、同じ演目でもさまざまな味わいを醸し出しているのです。だからこそ、観るたびに新鮮!

 歌舞伎が400年以上も続いて来た理由のひとつはそんなところにあるのでしょう。

吉例顔見世大歌舞伎
2019年11月1日(金)~25日(月)

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/644/


十二月大歌舞伎
2019年12月2日(月)~26日(木)

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/655/

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» 第1回「歌舞伎座はじめてガイド
» 第3回「中村梅枝さんインタビュー 後篇