名作と呼び声の高い映画『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』『カップルズ』に出演した台湾の俳優クー・ユールンさん。

 彼が主演した最新映画『あなたを、想う。』の公開に合わせ来日、宝塚出身で台湾にファンも多い、女優の凰稀かなめさんとの対談が実現しました。

 最新作は、台湾で女優としても知られるシルヴィア・チャン監督によるファンタジックな人間ドラマ。

 両親の離婚で離れ離れになった兄妹と妹の恋人という3人を通して、その心の揺れや親への想いが描かれています。

 映画の中で、クーさんは兄妹の兄であるユーナンに扮し、失った母親と妹への思いを抑えた演技で見せて切なさを誘います。

 奇しくも中国語の勉強を始めたばかりという凰稀かなめさんとは初対面ながら抜群の相性を見せ、映画の舞台である台北と台東について、演技論など様々なことを語ってくれました。

クー・ユールン(以下、クー) 宝塚のみなさんはすごくかっこいいですね。

凰稀かなめ(以下、凰稀) ご覧になったことはありますか?

クー 舞台を直接見たことはないんですが、ネットやテレビで見たことはあります。世界で超有名ですよ。

凰稀 台湾にはファンの方が結構多いんです。クーさんは舞台に立たれますか?

クー 大学時代にはやっていました。

凰稀 今は映画とテレビがメインですか?

クー 映画の方が多いですね。

凰稀 映画の場合、役作りはどのくらい前からされるんですか? 

 私は舞台が多いのですが、舞台は1カ月前じゃないと台本もいただけないし、どういう役どころなのかもわからないことが多いんです。

クー この最新作の場合で言うと1年くらい前です。

凰稀 1年!

クー まずは映画の舞台である緑島(りょくとう)に行って「ここで育った人というのはどういう人だろう」と考え、それから自分の中の想像で記憶を蓄積していってという役づくりをしていきました。

2019.11.30(土)
構成・文=濱野奈美子
撮影=MEGUMI