人気の紙屋さんが手がける
素敵なノートやエコバッグ

 ライター業という職業柄、ノートを使う頻度が圧倒的に多いのですが、最近改めて使い心地の良さを実感したのが、「品墨良行」という台湾ブランドのノートでした。

 ペンを走らせた時、ページをめくる時、片手で持つ時、すべてにおいてしっくりとくる感触を覚えたのです。

 そんな理想のノートを販売する「品墨良行」は、観光客で賑わう永康街を南に進んだところに位置します。

 周囲は落ち着いた住宅街となっており、ここに2店舗を構えています。街上店はノートやメモ帳、植物繊維でできたエコバッグなどのグッズをメインに扱っています。

 看板商品は「晒日子」というノートで、天日干しさせ、その日焼け具合で異なる雰囲気になるというもの。その独創的なアイデアに驚かされます。

 また、もう一軒の巷内店(紙的材料室)は「紙の図書館」とも呼ばれ、日本やヨーロッパ、台湾の紙が200種ほど集められています。

 こちらはデザイナーや編集者、デザイン学科の学生などが数多く訪れます。昨年からは印刷と装丁の業務も開始し、少量ロットからでも雑誌や作品集を作ることができるようになりました。

 オーナーの王慶富さんはクリエイターたちの間ではよく知られた人物です。デザインを独学で学び、印刷会社などで修業を重ねたのち、2002年にデザイン事務所を開設しました。

 その後、10年前にショップをオープン。現在は台中店もあり、その人気ぶりがうかがえます。

 街上店ではグッズを販売する以外にも、オリジナルのノートを製作できるスペースを設けています。スタッフの李虹嬌さんによれば、「紙を購入しに来る人たちにはそれぞれ物語がある」とのこと。

 以前、日本の老夫婦が台湾の旅の思い出を記すために、大きめサイズのノートを作りに来たことが印象に残っているそうです。

 温かな空気に包まれた店内で、お気に入りのノートを選んでみるのもよいですし、時間があれば自分だけのノートを作ってみてはいかがでしょうか。きっと忘れられない思い出となるはずです。

2019.11.29(金)
文・撮影=片倉真理