天国のような村と、楽園のようなビーチへ
ラハイナの次は、太陽ののぼる東、ハレアカラーの向こう側の「天国のような」が形容詞のハナの村へ。長く、細く、曲がりくねっているハナへの道は、空港からは車で2、3時間はかかる。生い茂る熱帯雨林のジャングルを右手に、ノースショアの深く澄んだ海を左手に、車一台がやっと通ることのできる橋をいくつも越えていくのだから、ハナが現世と離れた存在とされるのは仕方がないのかもしれない。
ハナの村には、海の飛沫、山からの霧雨が舞い、しっとりした静かな時間がある。花々の香りに満ち、裸足で歩く子どもたちの笑顔がまぶしく、大人たちの陽気な声が風にのってそよぐ。カウイキの丘に向ってハナ牧場が広がり、ハナ湾に入ってくる魚の群れを見張る漁師小屋、村唯一のよろずやとして歌にまで歌われているハセガワ・ジェネラル・ストア、時計をおかない本物のリゾートとして名高いタラヴァーサ(旧ホテル・ハナ・マウイ)と、のどかなハナの村は昔の面影を色濃く残しているのだ。
ハナ湾で一休みしてドライブの疲れをいやし、歩くぐらいの速度で車を走らせながら、村をぐるっと一回り。まずはタラヴァーサのすぐ横にあるハナ・コースト・ギャラリーへ。ハナという別世界、閉ざされた小さな村にギャラリーがあることを不思議に思うことなかれ。だからこそアーティストが芸術に花を咲かせ、地元アーティストの水彩、油彩、彫刻、彫金などの作品は圧巻だ。またギャラリーはアジアの芸術に造詣が深く、島内でも著名なコレクターでもあることも興味深い。
ギャラリーを満喫したあとは、よろずやのハセガワ・ジェネラル・ストアや、村のなかのあちこちにあるフルーツスタンドなどで食べ物を購入して、まっすぐ村のはずれにあるハモア・ビーチに向いたい。入り江のような地形のハモア・ビーチは、決して大きくない。ところが、道に車をとめ、小道をビーチにまっすぐ下っていくと、そこにあるのは限りなく広がる楽園のようなビーチなのだ。波の飛沫がこんなにいい香りなのは、ここだけ。なぜか、私たちだけがいるような気分になるのは、ハナの静けさのせいだろう。
旅の時間は、日常のそれとは違う。時間に管理される旅は、マウイ島には何よりも向かない。空港に降り立てば、まずは風に時計をさらわれ、大自然につつまれていく。マウイ島の唯一の時計といえるのは、ハワイの歴史を刻む時計かもしれない。
Lahaina Historic Trail(ラハイナ・ヒストリック・トレイル)
ラハイナ・ビジターセンター
住所 648 Wharf St # 101 Lahaina, HI 96761
電話番号 +1-808-667-9175
営業時間 9:00-17:00
【地図はラハイナ・ビジターセンター他で入手できる。ウェブで見られる地図もある】
定休日 無休
Hasegawa General Store(ハセガワ・ジェネラル・ストア)
住所 5165 Hana Highway Hana, HI 96713
電話番号 +1-808-248-8231
営業時間 月~土7:00-17:00、日8:00-18:00
Travaasa(タラヴァーサ)
住所 5031 Hana Highway Hana HI 96713
電話番号 +1-808-248-8211
URL travaasa.com/hana
Hana Coast Gallery(ハナ・コースト・ギャラリー)
住所 5031 Hana Highway Hana HI 96713
電話番号 +1-808-248-8636
営業時間 9:00-17:00
定休日 無休
URL www.hanacoast.com
神宮寺 愛 (じんぐうじ あい)
ライター・コーディネーター・通訳/翻訳(英語・ハワイ語)、フラダンサー。
出版社退職後に渡米、マウイ島在住11年。五感、六感のおもむくまま、食べること、踊ること、11歳の愛娘に夢中な毎日。著書『心と体がピュアになるハワイアンな暮らし』(青春出版社)、雑誌『アロハエクスプレス』連載エッセイ執筆中。ブログ『愛しいカンケイ』
協力:ハワイ州政府観光局
公式サイト www.gohawaii.jp
Facebook www.facebook.com/discover.aloha
Column
4つの島の個性を知る旅。もっと行きたくなるハワイ【マウイ島】
マウイ島在住11年、ライター・コーディネーター・通訳でありフラダンサーでもある神宮寺 愛さんが、マウイ島の文化、おいしいもの、自然を満喫できるアクティビティーなどを紹介します。
2012.10.19(金)