美しい英国式庭園に囲まれた
ブッフェレストランの主は?
帯広に到着した翌朝、素晴らしい朝食が食べられるレストランがあると聞いて訪ねたのは、美しいイングリッシュガーデン。
なぜ、ご飯を食べるのにお花畑へ? といえば、園内のレストランには、オーナーであるおばあちゃまが作る、おいしい朝食ブッフェがあるから。
郊外にある「紫竹ガーデン」は、十勝平野に広がる壮大な観光ガーデン。15,000坪もの敷地には、約2,500種の季節の花々が咲き乱れている。
ガーデニングはすべて、無肥料、無農薬、無灌水。まるで北海道の野原のように、美しく穏やかな景観がそこにある。
この広大なガーデンを手がけている方こそ、1927年(昭和2年)生まれの “おばあちゃん”こと、紫竹昭葉さん。
90歳を超えた今もほぼ毎日、庭に出て草花のケアをし、レストランでゲストを迎えている。
お会いしてみると、とてもキュートで可愛らしいお方。華やかな色のコーディネートや、上品なチークやリップがとてもよく似合う。
おばあちゃんがここにガーデンを作ったのは、63歳のとき。56歳で最愛のご主人を病気で亡くし、悲しみに打ちひしがれていたころ、「これからの人生は花に包まれて暮らそう」と一念発起。
周囲からは心配する声があったもの、白樺の木が5本立っていただけの土地を開墾し、みごとな花畑を完成させた。
その胸の内にあったのは、「子どものころ、日が暮れるまで駆けまわっていた花いっぱいの野原を再現したい」という思い。
そんな地元の自然を愛するおばあちゃんがメニューを考え、家族と手作りする朝食は、ヘルシーで、ボリュームもたっぷり。
野菜は、自家栽培のものやご近所の畑から届いた新鮮なものをふんだんに使っている。
サラダに温野菜にハッシュドポテト、チキン、ハンバーグ、野菜のソテー、煮物、おひたし、フレッシュフルーツジュース、お手製スイーツ……。
ブッフェテーブルにずらりと並ぶのは、バラエティ豊かな料理たちだ。
料理は奇をてらったものはひとつもなく、素材のおいしさを大切にしたものばかり。新鮮な食材を使うから、何が並ぶかは、その日のお楽しみ。
それにしても、朝からこれだけの料理を作るおばあちゃんは、とってもパワフル!
「元気の源は、よく食べ、よく遊ぶこと。大地の恵みをたっぷりと食べて、お庭で存分に遊んで、あなたも元気になって!」と、おばあちゃん。
料理は、新鮮なもの、飽きないもの、手を加えすぎないものを心がけているのだとか。
朝からたっぷりと大地の恵みをいただいた旅の最終日。ひがし北海道はいつだって、お腹も心も満たしてくれる。
旅を終えてすぐに、次のひがし北海道への旅を計画した。
紫竹ガーデン
所在地 北海道帯広市美栄町西4線107
電話番号 0155-60-2377
http://shichikugarden.com/
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2019.03.05(火)
文・撮影=芹澤和美