変わりゆく年齢化粧品
女性たちの変化に、じつは化粧品も敏感に反応している。まず、ポーラのRed B.A。意外にも30代の肌がストレスに対し一番弱いことを突き止め、日々のストレスを肌トラブルに変えない全く新しいエイジングケアとなった。ストレスを受けるとそれを緩和するためにコルチゾールというホルモンが分泌されることは知られていたが、繰り返しストレスを受けるうちに、このホルモンが肌の中に居座って悪さをするというのだ。その傾向が一番顕著なのが30代。これまでエイジングが始まる世代としか認識されておらず、中途半端なプレエイジングケアしか用意されていなかった30代を主役にしたエイジングケアが誕生したのだ。新しい年齢観から人生全般を見ても、改めて30代は大きな過渡期なのがわかっただけに素晴らしい発見。凄いタイミングだ。
また今、シワ改善を公に認められた化粧品のデビューが相次いでいるが、コスメデコルテのアイピー ショット アドバンストは文字通りiPS細胞研究をベースに生まれたシワ改善コスメ。シワ改善に再生医療のテクニックが加わってくる未来が一気に開けてきた。40代から急に増えるシワを確実に予防できれば、40代50代60代の生き方も変わってくるはず。そもそも、21世紀に入ってからの女の年齢観を劇的に変えたのはプチ整形の台頭だと言われる。見た目に歳を取らなくて済むと思った途端に、女の人生は変わるのだ。
そして新しい時代の象徴として注目を集めるのは、プレミアムなオーガニックケア“イトリン”。とても凜と生きる人という意味のネーミングだが、これからのエイジングケアは、肌一枚ではない、“命そのものが綺麗な人”を目指すべきというメッセージを発した。命の美しさを叶えるには、従来の発想ではダメ。地球が育む植物の命に最大級のリスペクトを持って、これまでは化粧品成分化が困難とされた植物にも丁寧に向き合い、これまでにないパワフルなオーガニックエイジングケアを生み出した。精油ブレンドの妙により、曖昧ではない、ある意味“劇的な効果”を狙ったのだ。命の美しさは生涯続くことを、改めて教えてくれるこのブランドの誕生は、新しい女の年齢観を象徴しているようである。
齋藤 薫 (さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『“一生美人”力』(朝日新聞出版)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。近著に『されど“男”は愛おしい』(講談社)がある。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2018.10.16(火)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史