頑張りすぎて
疲れてしまう女たちへ
いつの時代も存在する。頑張りすぎて、いっぱいいっぱいの女性。決して悪いことではない。ある意味、素晴らしい。しかし、そのゆとりのなさからいろんなところにガタが来てしまうのは確か。人間関係で誤解されてしまったり、身も心も疲れきってしまったり。その結果、肌トラブルが絶えないことさえあるのだろう。
逆を言えば、だからスキンケアにすがりつき、情報に振り回されて、美容自体に疲れてしまうこともあるのかもしれない。実際、キレイになることを頑張りすぎて、見た目にも枯れてしまう本末転倒も起こりうる。仕事にも、生きることにも、そして美容にも、ゆとりを持って取り組むほうが、何もかもうまくいくはずなのに。
だから、疲れた時にちょっと逃げ込むための化粧品をご紹介。まず何といっても“肌を休ませるためのスキンケア”とのコンセプトが今大きな話題となっているセルヴォークのレステッドスキン。レステッドとは、まさに休息を意味する言葉。アロマ系の香りはもちろん、肌をいたわるようなテクスチャー、傷んだ肌を優しく包み込むうるおい、これまでの敏感肌用とは全く違う発想で、美容に疲れた肌を休ませてくれる。
おそらくは、みな少し脱力しつつ、こう思うはず。なあんだ、美容ってこういうことでいいのだと。あれもこれもとやりすぎていたことに気付かされると同時に、スキンケアってこんなに優しい気持ちになれるものなのだと思い知らされるはず。ともかくいっぱいいっぱいの人は、一度体験してみてほしい、時代が生んだ休むための美容。
そしてメイクにおいても同じ。必死に頑張らなくても、ベースメイクは自分のもう一枚の素肌をつくるつもり、チークも自分の肌に潜む紅潮を引き出すようなつもり、そういう意識がいい意味の脱力感をもたらしてくれ、いっぱいいっぱいの女を救ってくれる。
だからアルマーニのベースメイク。スキンケアしながらの薄化粧で素肌美の追求。本来が、これで充分じゃない? と思えるはずなのだ。休日メイクと捉えてもいいけれど、疲れたらネオヌード。それでも充分美しいことが、新たな勇気をもたらしてくれるかもしれない。美容を頑張りすぎの女たち、美容を誤解していないだろうか?
齋藤 薫 (さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『“一生美人”力』(朝日新聞出版)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。近著に『されど“男”は愛おしい』(講談社)がある。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2018.11.27(火)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史