東洋一のサウンド・マシーン、クレイジーケンバンドを率いる横山剣さん。その常人の域を超えた旺盛なクリエイティヴィティにインスピレーションを与える源泉のひとつが、魅力的な女性たちの存在です。これまでの人生で恋し憧れてきた、古今東西の素敵な女性について熱く語ります!


#003 古内東子

古内東子(ふるうち とうこ)

1972年生まれ。東京都出身のシンガーソングライター。93年、シングル「はやくいそいで」でデビュー。96年には自身最大のヒットシングルとなる「誰より好きなのに」をリリース。松任谷由実にも比肩する「恋愛の教祖」として讃えられる。98年に発表したアルバム『魔法の手』はオリコン首位を獲得。現在まで計17枚のオリジナルアルバムを世に送り、コンスタントに活動を続けている。

「Peach Melba」は名曲!

 1990年代は、日本に才能ある女性シンガーが綺羅星のごとく登場した時代でした。Chara、UA、MISIA……。そんな中でも、僕が最も注目していたのが、古内東子さんです。

 93年、僕は、神崎まきさんというシンガーの『joy』というアルバムに、作曲家として2曲を提供しました。

 このCDに「ON THE PLANET」という曲が収録されていたんですが、これがひと際光を放っていた。作曲のクレジットを見ると、古内東子とある。それを機に興味を抱き、彼女の作品を追いかけるようになりました。

 一番好きな楽曲は、94年にリリースされたサードアルバム『Hug』に収録されている「Peach Melba」。初めて聴いた時、何て色っぽい曲なんだと驚きました。とてもエロティックなのに、ヴィブラフォンとフルートが涼し気で、品がある。

 『Hug』には、この曲の他にも、「うそつき」「もっと」といった珠玉の名曲が収められています。一時期の僕は、このアルバムばかりを繰り返し聴いていたものです。

 その後に発表された『Strength』(95)、『Hourglass』(96)など、ニューヨークやロサンゼルスで録音を行ったアルバムもまたすごい。

 何しろ、デヴィッド・T・ウォーカー、デヴィッド・サンボーン、ランディ・ブレッカー、オマー・ハキムといった凄腕ミュージシャンが参加しているんだから、そのクオリティは半端じゃない。

 初めてご本人にお目にかかったのは、2001年ぐらいだったかな。青山のCAYで開催されていた「LATIN HARLEM」というイベントに、僕も古内さんもゲスト出演したんです。その時、僕のリクエストで彼女が歌ってくれた「Peach Melba」のラテン仕様がめちゃめちゃセクシーでドキドキしました。

2018.07.07(土)
構成=下井草 秀(文化デリック)