ゴッホやモネが愛した風光明媚な街も詳しく案内

 パリの散策コースを案内するページも面白い。ピガールとモンマルトル、サン・ジェルマンとモンパルナス、テュイルリーとシャンゼリゼなど、紹介されるのは計8コース。住まい、アトリエ、そしてカフェなど、アーティストたちの残した足跡をたどれば、彼らの息遣いがリアルに伝わってくるはずだ。これまでとは違った側面から、新しいパリの姿が浮かび上がってくるに違いない。

オーヴェル・シュル・オワーズはパリから30kmほど北に位置する小さな町。ゴッホが眠るオーヴェル墓地、印象派の画家たちの支援者だったガシェ医師の家などがある

 最後は、花の都を抜け出し、パリ北部およびノルマンディーへ。ゴッホが拳銃自殺するまでの最期の70日間を過ごしたオーヴェル・シュル・オワーズ、モネが『睡蓮』を描き続けたジヴェルニーなど、美しい自然や古風な街並みが画家たちの心をとらえた街を巡る。

 美術入門書としても、旅行ガイドとしても、内容は非常に充実。芸術の秋、フランスへ出かけるトラベラーにはぜひおすすめしたい。

 ちなみに、このシリーズからはもう一冊、『美術を巡る旅ガイド ヨーロッパを代表する画家たち ゴッホ、フェルメール、ゴヤ、カラヴァッジョ、ムンク』も発売されている。こちらは表題に登場する巨匠が生活していた5つの街――アルル、デルフト、マドリード、ローマ、オスロ――を案内。欧州各地への旅を、より味わい深いものにしてくれることだろう。

『パリとノルマンディー 印象派を巡る旅ガイド』
発行 メディアファクトリー
定価 ¥2310
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2012.09.06(木)