辛いだけじゃなく
ゴクゴクいける旨辛スープ

◆ファイヤーホール4000 麻布十番店(麻布十番)

五反田店では2種だったスープが、麻布十番店では3種となった。

 日本気象協会の予想によると今年も暑い、しかもかなりの猛暑だそうだ。

 夏バテが怖い。さあ、どうする。そんななか、2018年4月24日(火)にオープンしたのが「ファイヤーホール4000 麻布十番店」。五反田に続く、火鍋専門店の2号店は、内容をワンランクもツーランクも上げたものだという。

「目線お願いします!」と言わなくても向けてくれる、あのシェフの新店を訪問です。

 麻布十番の商店街をそぞろ歩く。到着。あの人気ジェラート店の上なのね。

エレベーターで5階へ。
十番らしくお洒落な店内。4人用の個室や、商店街を見下ろすテラス席もある。

 「ここだけの話、夏バテ知らずになれるかもしれないですよ」と耳元で囁くのは、総料理長の菰田欣也氏。TVでもおなじみの人気シェフであるが、それだけではない、しっかり火鍋伝導師の称号も持っている。

 おすすめの「白金コース」10,000円をいただこう。

 奥の2つは従来からあるスープで、左は四川省の香辛料を合わせ作った自家製豆板醤たっぷりのもの。改良に改良を重ね、3年間かけて作り上げた。朝天辣椒という四川の唐辛子や国産の山椒を入れたあと、真っ赤な辛いスープを注いでいく。

 「辛いだけじゃなく、ゴクゴクいっても大丈夫な旨辛スープです。薬味で食べるのではなく、スープを飲みながら具材を食べてもらうというのが当店の火鍋ですから」と菰田シェフ。

 右の辛くないバクテースープは、シンガポールの肉骨茶がベース。四川省で「栄養薬膳師」を取得している菰田シェフが、当帰、川芎、熟地黄などを配合し、女性にいい効果が期待できる、身体にやさしいスープに仕上げた。「700ミリリットルは飲んでいってほしいです」。

 そして手前が、新しく投入された白湯タイプ。発酵白菜のスープだ。独特の酸味だけでなく、奥深いコクも感じる。これは?

「能登の白菊という大吟醸のメーカーから卸してもらった酒粕を入れています。今回この店で使う野菜は能登島のもの。そこからご縁がつながって」

 そうこうしているうちに前菜。牡蠣のマーラーソースがけとよだれ鶏。添えられたプチトマトは「乙女の涙」というブランドで甘みが強い。いい組みあわせ。

火鍋だけじゃないよ、という声が背後から聞こえてくる。

 火鍋の始まりはフカヒレから。

 ヨシキリザメのフカヒレをバクテースープに入れて3分。長めに浸からせればより味が染み、とろっとしてくるが、シャキシャキした感じが好みなら3分ほどでOK。

こんな立派なフカヒレを仕入れられるのも菰田シェフの手腕。

 海鮮もゴージャス。

 卵を抱えた宮城県産のメスのワタリガニは辛いスープに入れ、贅沢に出汁とり。千葉県産の鮑は酒蒸しにしてあるので、火が通ればすぐ食べられる。千葉県産サザエや淡路産鯛、季節の素材として登場した生のホタルイカも同様。30秒ほどしゃぶしゃぶすればよし。鹿児島県産車海老は、辛いスープの中でじっくり味を染みこませよう。

串に刺して鍋に投入すれば、「自分用」がわかって便利。

2018.05.31(木)
文・撮影=Keiko Spice