話題賞受賞の挨拶を全文公開!

左:「世界の北野、足立区のたけし」は1997年から2002年まで放送されていた番組。途中から「足立区のたけし、世界の北野」と入れ替わった。たけしさんは足立区立第四中学、マダムアヤコは足立区立新田中の出身。以前、お会いしたとき出身を名乗ると「いつもオレのせいで悪いねえ」と言ってくれたことに感激し、今でも地元に帰ると毎回自慢していたのだが、昨年「アド街」の足立区特集に出たたけしさんは「新田中って、開拓地みたいな中学があってさー」と言及。実は足立区きってのマンモス校で進学率もよかった四中に対し、新田中は開拓地というか番外地。昭和50年代になってもまだ近くに防空壕があった。
右:若干緊張気味の香取慎吾がマイクの前に立つと、主演男優賞の西田敏行から「いよっ、慎吾ちゃん!」のかけ声がかかって笑顔に。2人はドラマ「家族ノカタチ」で親子役を演じるなど、共演が多い。アドリブ多過ぎと北野監督に指摘されていた西田敏行だが、これはナイスアシスト。

 受賞者は事前に発表されているため参加していてもおかしくはないのだが、表彰状を読み上げるたけしが「審査委員長 ジャニー喜多川」と名乗ったり、「SMAPは山口組の分裂と同じ。神戸SMAPを作ったら?」などと暴走は止まらず、慎吾ちゃんはどうリアクションしていいか困り顔を見せつつも、「72時間ホンネテレビ」などの活躍が受賞理由ということですぐに笑顔に。

 では、なぜかほとんどワイドショーでは放送されなかった、香取慎吾の受賞挨拶全文をここに記そう。

 「新しい地図というものを始めて、まだ1年もたっていないんですけど、こんなに素敵な賞をいただけて、とても嬉しく思っています。自分がまさか、このステージに立つ日が来るとは思ってもいませんでした。東スポさんにはすごくお世話になっていまして(笑)、結構一面を何度も飾らせていただきました。結構、早い段階で『香取慎吾、引退』って書かれてましたが、あの時に引退していたらこの舞台に立つことは出来なかったので、引退しなくてよかったな、と。すごく盛大な授賞式で、驚いています(笑)。ほんとにこんな日が来るとは。4月に公開の映画をいま撮影していまして、『クソ野郎と美しき世界』というタイトルです。次回はぜひ映画大賞のほうに参加できたらと思っています。きっと他の賞はもらえないと思うので、ここだったら、ぜひ(笑)」と挨拶し、たけしの毒ガス(懐かしいフレーズだ)に負けじと、会場を大いに沸かせた。

日本芸能賞は、ゆりやんレトリィバァとブルゾンちえみ。ゆりやんの顔を見るだけで、ビートたけし審査委員長は何度も吹き出していた。ゆりやんはまさに映画賞におあつらえむきの、アカデミー賞受賞スピーチネタを披露。英語の発音がいいのでビックリした。ぜひ次は、世界の北野とカンヌかベネチアを目指してほしい。

 挨拶の後も慎吾ちゃんは最後まで会場の受賞者テーブルに残り、師匠と慕う綾小路きみまろの漫談や、ゆりやんレトリィバァらの芸を楽しそうに聞いていた。

左:ビートたけしのエンターテインメント賞で日本芸能大賞を受賞した綾小路きみまろと、話題賞の香取慎吾。きみまろさんのマネージャーが2人のツーショットを撮るなど、お互いの受賞を喜んでいた。
右:助演女優賞は『三度目の殺人』の広瀬すず(なんと3年連続受賞)と斉藤由貴。斉藤は直前まで出席を予定していたらしいが、たけしにパンツ被って出てほしいと言われたのがショックだったのか、欠席。被っていたのは、不倫相手なのだが。
斉藤由貴の代わりに登壇した是枝裕和監督は、なぜかガダルカナル・タカに思いっきりスリッパで叩かれていてマジで痛そうで、たけしにも「世界的な映画監督になんてことをするんだ!」と同情されていた。是枝さんは、「(カンヌのトロフィーではなく)机に『海街diary』でいただいた監督賞のトロフィーだけ飾ってあるんです。この映画賞に呼んでいただくのは、映画人として誇りなので、代理でも何でもいいので毎年呼んでください」と健気に挨拶。たけしの映画愛を称えていた。

2018.03.24(土)
文・撮影=石津文子