●カーヴシンデレラ(東京・西麻布)

唐揚げ5個 1,000円、シャンパンはグラス 1,800円~。

藤崎さんの“わがまま”を叶えた
シャンパン×唐揚げの最強ペアリング

 藤崎さんがプロデュースするこちらのお店では、シャンパンに合う唐揚げを堪能できる。凛とした佇まいの、店名のごとく“シンデレラ”な唐揚げとシャンパンは大人に許された至極のペアリング。

 「餃子や唐揚げは誰もが知っている味。しかも、母親の味や行きつけのお店の味など、思い入れがあることも。例えばトリュフやパクチーなどをトッピングしてみたり、エスニックな味付けをしたり、個性を出すことは簡単。いかにトラディショナルな味とかたちでありながら共感してもらえるものにするか、シャンパンとどうマリアージュさせるか、このふたつの課題が予想以上に高いハードルでした」と、レシピ開発に励んだ当時をふりかえる藤崎さん。

鶏肉は皮のほか、揚がったときの臭みにつながるからと、脂身や筋も全部とる。丁寧な手仕事を物語る美しい断面はため息もの。

2年間の試行錯誤を経て完成した
20分待っても食べたい唐揚げ

 藤崎さんがプロデュースするにあたり、「ここの唐揚げがお手本だった」と振り返るのが、五反田にある鶏肉専門店兼惣菜屋の「信濃屋」でであった唐揚げ弁当。「ここまでふわふわでジューシーな唐揚げははじめてで感激しました。しかも冷めてもおいしい。そこの唐揚げで使っていた鳥取の大山どりを使うことを迷わず決めました」。今も、当日の朝にさばかれた鶏肉を仕入れています。鮮度がよいため、鶏肉特有の臭みがいっさいありません。

 お肉のおいしさをいかそうと、味が染みすぎないように味付けはオーダーが入ってからという徹底ぶり。塩、こんぶ茶、ごま油、胡椒などで下味をつけたら一旦寝かせ、ショウガの搾り汁、醤油、日本酒で味を調える。

 衣は食感を出すために片栗粉を使用。160度で1分30秒揚げ3分休ませる。余熱で身に火を入れた後、180度で30秒揚げることで、中はしっとり外はカラリと仕上げるといった、手の入れよう。オーダーから約20分かかるが、待つ価値のある逸品だ。

▼聡子の「眼」

豊富なシャンパンのラインナップから
自分好みのマッチングを見つけて

藤崎さんの集大成とも言える、至極のマリアージュをぜひ賞味したい。店内にはソファ席、テーブル、カウンターを揃える。モダンながら、誰かの家に招かれたように温もりを感じる空間なので、女性ひとりでも訪れやすい。

 唐揚げがファーストオーダーの人には、ブレンド力が光るローラン・ペリエ。食事半ばで食べる人にはブラン・ド・ブラン、2軒目として訪れたのならふくよかなロゼといった具合に、その日のシーン、食べ合わせによってシャンパンを飲み比べできるのがここの最大の魅力。

 シャンパンは、だいたい4種類は開いています。唐揚げをアテにシャンパンを数種類飲み比べるといった、大人の楽しみ方を提案したいですね。

カーヴシンデレラ(東京・西麻布)
所在地 東京都港区西麻布1-15-7-6F
電話番号 03-5413-7554
営業時間 19:00~25:30(L.O.)
定休日 土曜・日曜・祝日
※チャージ 1人 1,800円、要予約

藤崎聡子(ふじさき・さとこ)
ワインスタイリスト。1997年、ワイン専門誌「ワイン王国」を立ち上げ、企画、広告、編集を兼任。2003年独立。2009年ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。年1000アイテムのシャンパンをたしなむ。シャンパンと餃子のマリアージュを追求し続け、西麻布に「カーヴシンデレラ」をプロデュース。“餃子セレブ”、“シャンパン番長”など、呼び名多数。