“餃子セレブ”の異名を持つワインスタイリスト・藤崎聡子さんをナビゲーターに迎え、都内および近郊の「SB級=スーパーB級グルメ」を辿る企画。第1回の「餃子」篇、第2回「唐揚げ」篇に続き、最終回となる今回は「中華丼」にフォーカス。
「中華丼を食べればそのお店の実力がわかる」という藤崎さん。スープのおいしさ、野菜の下ごしらえ、火の入れ方など実は多くのことを求められるがゆえ、厨房の手仕事ぶりがうかがえるのだとか。そんな独自の「眼と舌」を持つ藤崎さんが太鼓判を押す名店3軒をご紹介。
●上海四川料理 廣安(東京・広尾)
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職人技が光る
“アガる”中華丼
「餃子や唐揚げと違って、中華丼はチェックポイントが多い」という、藤崎さん。野菜の大きさと厚みは均一か、スープに工夫はあるかといった基本的なことにはじまり、旨み具材となる肉および海鮮の割合、あんかけのとろみ具合、タケノコの切り方まで、項目は多岐にわたる。それらすべてをクリアし、藤崎さんの胃袋を掴んで離さないのがこちらの中華丼。
「独特のコクと旨みがくせになるおいしさですよ」。藤崎さんが賛美するその味わいの秘密は、醤油とオイスターソースの配合バランス。そこに自慢のオリジナルスープが加わり、さらに深みをそえる。店主が見習いとして修業していた、今はなき店の味を意識したという。
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店主が今のお店として独立したのは今から6年前。そのおいしさはすぐにまわりに伝播し、積極的に宣伝をしなくとも“町の中華屋さん”として地元に愛されるように。中華丼のほか、麻婆豆腐、黒酢酢豚といった料理も評判高い。
▼聡子の「眼」
コクのあるあんかけには
重厚な紹興酒が好相性
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クラシックな中華丼には、中国を代表するお酒、紹興酒がよく合います。中華丼はともすれば味の変化がなくなりがちですが、ここの中華丼は食べ続けても飽きることなく最後まで食べられる。そこに紹興酒の旨みがレイヤードされることで、より奥深い味わいとなり、レンゲが止まらない(笑)。同じあんかけを使った五目あんかけそばまでオーダーしそうになるのを、いつも抑えています(笑)。
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上海四川料理 廣安
(しゃんはいしせんりょうり・こうあん)
所在地 東京都渋谷区広尾5-23-2 広尾センターハイツ108
電話番号 03-6277-2623
営業時間 ランチ 11:30~14:00/ディナー 17:30~22:30(L.O. 21:45)
定休日 月曜、日曜ランチ
※年末年始は2017年12月31日(日)から2018年1月3日(水)の昼まで休み。1月3日(水)の夜から営業開始
2017.12.30(土)
文=吉村セイラ
撮影=平松市聖