“餃子セレブ”の異名を持つワインスタイリスト・藤崎聡子さんをナビゲーターに迎え、都内および近郊の「SB級=スーパーB級グルメ」を辿る企画。第1回の「餃子」篇に続き、今回スポットライトを当てるのは「唐揚げ」。藤崎さんが10年以上足繁く通うロングセラーの唐揚げを味わえる名店、シャンパン×唐揚げの新機軸を楽しめるワインバーなど、3軒をご紹介。

» 第1回 SB級の餃子
» 第3回 SB級の中華丼

» 「スーパーB級グルメ」三箇条とは

●新橋 DRY-DOCK(東京・新橋)

チキンバスケット 3ピース 670円、5ピース 990円。1ピース 160円で追加OK。

10年以上にわたり愛される
新橋高架下の雄

 藤崎さんとこの唐揚げとの蜜月は10年を超える。はじめてその味を口にしたのは、「KEEL'S BAR」という店名で、まだ店が「銀座9丁目」と呼ばれて親しまれていたエリアにあった頃。当時から、唐揚げ(正式なメニュー名はチキンバスケット)は人気のメニューだった。ほどなくして、都市開発による立ち退きのため店は閉店となったが、2007年よりDRY-DOCKと名を変え、新橋高架下にオープン、現在にいたる。

 「銀座のお店が閉店したときは、衝撃が走った」という、藤崎さん。復活の話を聞いたときは「それ以上の衝撃が駆け抜けた(笑)」と、今も変わらずひいきにしている。藤崎さんのようなケースはめずらしくなく、取材日前日にも、銀座時代の常連が訪れたばかりだとか。

 藤崎さんも「トータルバランスがいい!」というように、一見普通の唐揚げながら、パーツごとに丁寧な手仕事が施されている。肉を漬け込むタレの味付けは、しょうが、醤油、みりんがメインのいたってシンプルなものだが、秘伝の配合により、肉本来の味を引き出してくれる。

 肉質には妥協せず、国産の銘柄鶏のもも肉を使用。さくっとした食感に仕上げるため、衣には片栗粉を用いる。腕をふるうのは三木シェフ。銀座時代から厨房に立ち、同じレシピと手法で唐揚げを揚げ続けて今年で14年、今もその味を守っている。

店内は船をモチーフにしたインテリア。ゆったり食事を楽しみたいときは2階席の「アッパーデッキ」へ。2名以上、520円のプレッツェル付きの席料で利用可能。

 新橋という場所柄、平日は仕事あがりの一杯を楽しむ会社勤めの人で賑わうが、週末になるとショッピング帰りに銀座方面から、この唐揚げをめがけて立ち寄る人もいるとか。頬張れば思わず笑顔になる、実力派の唐揚げを求めて、気の置けない仲間を誘って気軽に立ち寄りたい。

▼聡子の「眼」

シルキーなビールの泡が
唐揚げ&ポテトと口福のダンス

アサヒスーパードライ 670円。

 このお店のもうひとつの顔は、ビールのおいしさ。ちまたでは、アサヒスーパードライを日本一おいしく注ぐお店と形容されています。そもそもビールに合うメニューとして開発された唐揚げとあって、その相性たるや!

 イギリスのフィッシュ&チップスをイメージしたというバスケットには、ポテトフライがどっさり敷かれています。唐揚げ、ポテト、ビールと、口福の無限ループ。同じくビール由来のモルトビネガーのソースを用意しているのもにくいですね。

ビールの泡がキメ細かくしなやかな飲み口だと、藤崎さんも太鼓判。

新橋 DRY-DOCK
所在地 東京都港区新橋3-25-10 JR高架下
電話番号 03-5777-4755
営業時間 17:00~24:00、土曜 16:00~22:00
定休日 日曜・祝日・第3土曜

2017.12.23(土)
文=吉村セイラ
撮影=平松市聖