●中国飯店 小天地(東京・六本木)

五目かけごはん 1,400円。ランチでも登場するが内容が異なるので気をつけて。

中華丼の奥深さに開眼した
名店の味

 「それまで中華丼といえば家庭料理のイメージが強かったけれど、ここの味を知ってから変わりました」と藤崎さんが語るように、実は多くの技が求められる中華丼は、専門店でこそ味わいたい料理。

 「一度食べたら忘れられない、オイスターソースの独特な香りと風味は、じっくり出汁が出た上湯(スープ)とのブレンドによる賜物。家庭では真似できませんよね」。たかが中華丼、されど中華丼。20年前にこの味を知って“中華丼研究”が始まったという、藤崎さんの原点ともいうべき一皿だ。

 野菜は白菜を使わず、レンコンとキャベツを入れるのが小天地流。ほか、しいたけ、豚肉、いか、海老。そして彩りとしての青梗菜。こちらでも、肉、シーフード類は油通しをして旨みを閉じ込めるが、野菜は炒めるのみ。「本場中国では味の濃淡をはっきりさせますが、日本人の好みに合わせて少しマイルドに仕上げています」と料理長がいうように、コクがありながらも上品な味わいに仕上がっている。

広々とした地価のフロアは、宴会の場としてもよく使われる。

 六本木駅から徒歩5分とアクセス至便。名門・中国飯店の本格的な味をカジュアルな空間で味わえると評判のお店。北京ダックなどおなじみの一品料理、点心、小皿料理が充実しているので、仲間で訪れてシェアするのも楽しい。今なら、旬の上海蟹のメニューが充実。ぜひ、足を運びたい。

▼聡子の「眼」

絶品のあんには
樽香のある白ワインが一番!

この日選んだのは、ベリンジャー・カリフォルニアのシャルドネ。グラス 700円。

 ワインリストが充実しているのもこのお店の好きなところ。小皿料理も充実しているし、飲んで食べるワイン好きにももってこいのお店ですね。滋味深いオイスターソースの効いたあんかけには、樽香がしっかりしていて、果実の甘みがある白ワインがよく合います。こちらの中華丼とワインを夜ご飯として食べることもよくあります。

「これぞ中華丼の真髄と言わせる伝統の味」で、訪れるたびに初心に立ち返るのだとか。

中国飯店 小天地
所在地 東京都港区西麻布3-1-22 クレストビル
電話番号 03-3405-5508
営業時間 11:30~15:00(L.O. 14:30)、17:30~23:00(L.O.22:30)
定休日 日曜

藤崎聡子(ふじさき・さとこ)
ワインスタイリスト。1997年、ワイン専門誌「ワイン王国」を立ち上げ、企画、広告、編集を兼任。2003年独立。2009年ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。年1000アイテムのシャンパンをたしなむ。シャンパンと餃子のマリアージュを追求し続け、西麻布に「カーヴシンデレラ」をプロデュース。“餃子セレブ”、“シャンパン番長”など、呼び名多数。