カラーテレビ工場が
最先端のレストランに

レストランの建物は、もともとカラーテレビ工場だった。

 夕食のレストランは、オランダ人家具デザイナーが経営するレストラン「ヘット・レストラン・ファン・ピート・ヘイン・イーク」。

 オーナーのピート・ヘイン・イークは、東京で個展を催したこともあるという著名なデザイナーで、自然木や工場廃棄物などの廃材を使用して新しいデザインを生み出している。ブルージュの回では、彼がインテリアと家具を手がけたレストランをご紹介したが、こちらは直営のレストランだ。

天井が高く開放的な空間は工場ならでは。カウンターにはピート・ヘイン・イークならではの廃材が使われている。

 レストランの建物は、フィリップスのカラーテレビ製造工場を改装したもの。天井が高く、開放的な空間に、彼がデザインした家具や照明が配されている。

 レストランの一角のソファ席でビールを飲んでいるグループがいた。背を向けていた男性が振り向くと、ピート・ヘイン・イーク本人だった! ということで、日本には10回くらい行っている日本びいきということもあり、お話を伺った。

デザインへの熱い思いを語ってくださった、ピート・ヘイン・イークご本人。

 1989年に廃材を使って家具を作って以来、さまざまな素材を使った製品を作ってきたが、これからは建築と家具などの製品の両方をデザインしていきたいとのこと。

 「とくに、廃墟を再生させたい。子供の頃から廃墟は大好きだったんだ」と。最近では建築デザインに興味を持っていて、フランスの廃墟を自分の別荘に再生させたのだという。

 実際には、廃材は輸送や保存に経費がかかって割高になるものの、「もったいないから何とか生かしたい!」という思いなのだとか。すべての製品には、使われている素材の過去のストーリーがあるという。

 ちなみに、彼の家具は東京の青山にある「シボネ青山」で購入することができる。

日が落ちると照明が美しさを増す。イスが不揃いなのもデザインだ。

 レストランのインテリアには、ピート・ヘイン・イークらしい廃材を組み合わせたデザインが生かされている。天井から下がる照明や使われているイスもデザインが不揃いなのは、素材が異なるから。

左:グリルした仔牛肉ホワイトアスパラガス添え。極太のアスパラガスが柔らかくて美味しい!
右:デザートの盛りつけもクリエイティブ!

 最先端のオランダデザインの中でいただく夕食は、目にも舌にも美味しい食事となった。

Het restaurant van Piet Hein Eek
(ヘット・レストラン・ファン・ピート・ヘイン・イーク)

所在地 Halvemaanstraat 28, 5651 BP Eindhoven
電話番号 040-4009005
https://pietheineek.nl/en/restaurant/restaurant-information

2017.10.26(木)
文・撮影=たかせ藍沙