不倫を匂わせる歌詞が実にセクシー

伊藤  楽曲のタイトル「We Don't Need To Talk Anymore」を見て、世界中でヒットしているチャーリー・プースの「We Don't Talk Anymore」のカバーなのかな? と一瞬思ってしまいました。よく見たらちょっとだけ違いました(笑)。音源を聴いたら、これまた世界中でヒット中のザ・チェインスモーカーズ「Closer」を彷彿させる。間違いなく意識はしていると思いますが、世界のトレンドにアンテナを張っているのがよくわかります。

山口 そうですね、アイドルというところからスタートしながら、洋楽も意識してアーティストらしい音作りをしていると思います。

伊藤 クレジットをみると作詞作曲はもちろん、トラック制作もプロデュースも橘慶太なんですね。w-inds.は彼のつくる世界を3人で表現しているって感じですね。

山口 失礼な言い方かもしれませんが、立派だなと思いました。歌詞についてはどう思いましたか?

伊藤 今年を象徴するワードとなってしまった「不倫」を思わせる内容で、かなりセクシー。気になったのは英語が5割以上を占めていて、これも世界を意識していることを感じさせる。もう、こうなったら思いっきり振り切って世界を目指してほしいですね。

山口 このジャンルは、日本人アーティストがアメリカに出ていくのは難しいですね。でもK-POPはアジアで広まっていて、内容的には彼らに負ける理由はないので、アジアでの頂点を目指してほしいです。それこそジャニーズが手をつけてない、ネットを活用したプロモーションでいけば可能性が十分あると思います。さて、今回の妄想分析はどうなりましたか?

伊藤 ノンリアルな世界で恋をしているようにフワフワしている。すべてがメタファーで、君とのドライブもまるで写真に収まらない花火の中を走っているようだ。君は幽霊で、次の瞬間には消えてしまっている、そんな感覚に包まれる。

 さっきまで土砂降りの泥雨のように抱き合った。真っ裸の野生動物。時折、言葉にならない騒めきを感じながら、それが巨大になる前に消してしまう。同情も自尊心ももたないことだ! と自分に言い聞かせながら運命という夜をむさぼった。愛し合ったのではない、傷つけ合ったのだ。

 いま君はオレのみっともない車のドアを開けて、ハリボテの悲しい顔でサヨナラを告げる。泥雨を払い、野生の匂いを消し、指輪を嵌めて歩き出す。リアルな愛のある世界へ。

山口 橘くんが降りてきたような二枚目路線ですね(笑)。

w-inds.「We Don't Need To Talk Anymore」
ポニーキャニオン 2017年1月11日発売
初回盤A[CD+DVD]1,389円、初回盤B[CD+DVD+スペシャルブックレット]1,389円、通常盤[CD]926円(税抜)
■w-inds.は、ヴォーカル・ダンスの橘慶太と、コーラス・ラップ・ダンスの千葉涼平、緒方龍一からなる3人組。2001年にデビューを果たし、同年の日本レコード大賞最優秀新人賞に輝く。毎年全国ツアーを実施。海外でも、香港、台湾、中国で単独公演を成功させている。橘慶太は2013年に松浦亜矢と結婚。2014年に女児を儲けた。
■「We Don't Need To Talk Anymore」作詞・作曲・編曲/Keita Tachibana
http://www.w-inds.tv/

【動画サイト】
「We Don't Need To Talk Anymore」

https://www.youtube.com/watch?v=Pc3Wq1lVThg

2016.12.30(金)
文=山口哲一、伊藤涼