キューバ人向けのローカルなレストラン
「キューバはおいしいのだ! Vol.3」は、ローカルな民営レストラン(パラドール)とを紹介したい。
前回、前々回の2回にわたって、モダンなパラドールを紹介してきた。
しかしそれらは皆、観光客向けであり、おそらく一般的なキューバ人は、一生訪れることがない店である。
今回の紹介は、キューバ人向けのパラドールである。
まずは観光客が皆無のプラヤ・デ・サンタマリアという海岸に行ってみよう。空港から30分ほど車で走ったところにある海岸である。
ちなみに私は、空港に降り立ったその足でタクシーで向かったが、運転手に海岸で「カヒータ(弁当)」を食べにいくと伝えたら、「そんな観光客は聞いたことがない」と、大笑いされた。
地元の人たちだけで賑わう海岸は、さしずめ鵠沼海岸といったところだろうか。のったり、のったり時間が進んでいる。みな笑顔で、心を真っ直ぐ座らせている。
そこにはいくつかの簡易食堂があって、カヒータを売っている。
炒めた御飯の上に、焼いた豚がドンと乗っているのは「Lechon Asado」、小間切れの豚肉が乗っているのが「Bistec de Cerdo Grille」である。
共に約35ペソ。約200円(キューバは二重通貨で、同じペソ値段でも、街中と田舎、地元人と観光客相手の店では、表記の内容に差がある)。冷えたビールを買い、立って食べた。
世界中のこのような屋台で売られている屋台食に共通するのは、味が濃い、辛いという、インパクトがあるものだが、この弁当「カヒータ」は違う。
味付けが淡い。まったく辛さや刺激がないのである。ピラフを炒めた油はなんだろうか? まったくもって油っぽくないのである。
豚1枚、炭火焼の香りに富んだやつもいいが、Bistec de Cerdo Grilleのほうがいい。醤油味のない叉焼といった風情で、御飯が進む。
2016.12.08(木)
文・撮影=マッキー牧元