コタイ地区で個性を競う7大統合型リゾート
この10年ほどの間に、ほかの都市とは比較にならないほどのスピードと規模で開発が進んだマカオ。ラグジュアリーなホテルが次々とオープンし、ここでしか観られないショーやパフォーマンスなども話題のエンターテインメント都市となった。また、成田や関空に加え、2016年には福岡から直行便も就航し、アクセスは飛躍的に便利に。
そんな今のマカオの象徴ともいえるのが、開発区のコタイ地区。マカオは、中国大陸から陸続きの半島部と、元々は離島だったが現在は半島部から3本の橋で繋がるタイパとコロアンからなる。コタイは、タイパとコロアンの間を埋め立ててできた新しいエリアだ。
つい十数年前までムツゴロウが泳ぐのどかな沼地だった場所に立ち並ぶのは、IR(統合型リゾート)。日本ではあまり聞きなれない言葉だが、これはホテルやカジノ、ショッピングモール、シアターなどが一体となった観光施設のこと。コタイには、次の7つのIRがあり、個性を競っている。
【1】ザ・ヴェネチアン・マカオ (澳門威尼斯人)
2007年、コタイ地区で先陣を切ってオープンしたラスベガス系のリゾート。3000室すべてがスイートのホテルや、コンサートやスポーツなどのイベントが開催される大型ホール、イタリアのヴェネツィアを模した水路を巡らせた巨大ショッピングモールも完備。ホテルは部屋に到着するまでに必ずカジノを通る造りになっている。
【2】シティ・オブ・ドリームズ (新濠天地)
「クラウン・タワーズ」「ハード・ロック・ホテル」「グランド・ハイアット・マカオ」と個性が異なる3つのホテルが入る。最先端の技術を駆使したアクロバティックな水上ショー「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」は、数カ月先までチケットが入手困難なほどの大人気。
【3】ギャラクシー・マカオ (澳門銀河)
2011年にオープンした「バンヤンツリー・マカオ」「ホテルオークラマカオ」「ギャラクシー・ホテル」に加え、2015年には「JWマリオット・ホテル・マカオ」「ザ・リッツ・カールトン マカオ」とエレガントなホテルも誕生した。
広大な敷地には、ホテルに直結するショッピングプロムナードや、世界最大級の流れるプールのあるリゾートエリアを併設。ローカルの夜市気分を味わえるエリア「ブロードウェイ・マカオ」は、開発区のコタイでは貴重な存在だ。
なお、2017年には、日本の新国立競技場の当初案をデザインしたことでも知られる建築家のザハ・ハディドが設計したホテルもオープン予定。
【4】サンズ・コタイセントラル (金沙城中心)
ホテルは2012年にオープンした「コンラッド・マカオ」「ホリデイ・イン・マカオ」「シェラトン・グランド・マカオ」に加え、2015年に「セントレジス・マカオ、コタイセントラル」がオープンし、名だたる5ツ星や有名ホテルが勢ぞろい。各ホテルとショッピングモール、レストラン、カジノは通路で繋がれ、ひとつの街のよう。
【5】スタジオ・シティ・マカオ (澳門新濠影滙酒店)
2015年オープンの、ハリウッド映画をテーマにしたリゾート。ホテルは「セレブリティ・タワー」と全室スイートの「スター・タワー」の2つ。シンボルは、この2棟の間にある高さ約130メートルの巨大な観覧車。『バットマン』のアトラクションが楽しめる4Dフライトシミュレーションや、イリュージョニストのフランツ・ハラーレイがプロデュースするマジックショーなど、エンターテインメントも本格的。
【6】ザ・パリジャン・マカオ (澳門巴黎人)
右:レプリカとはいえ精巧に造られたエッフェル塔。最上階にある展望テラスからは、コタイ地区を一望。
2016年9月にオープン。ほぼハーフサイズに精巧に再現されたエッフェル塔が目印。約3000室の客室を持つホテルのほか、大道芸人のパフォーマンスがパリの雰囲気を醸し出すショッピングモール、演劇やショーが行われるシアターなどがあり、カジノに頼らず楽しめるリゾートだ。
【7】ウィン・パレス (永利皇宮)
2016年8月にオープンしたラスベガス系ホテル。シンボルは噴水ショーが楽しめるパフォーマンス・レイク。この周りを取り囲むロープウェイに乗ってショーを眺めることも可能。花をモチーフにし、アートをいたるところに配したホテルは、ゴージャスながらも、ギラギラ感はなく上品な雰囲気。
これらIRのほか、エグゼクティブ層向けの「ザ・プラザ・マカオ」には、落ち着いたカジノや「フォーシーズンズ・ホテル・マカオ」が入り、「ゴテゴテした雰囲気は苦手」というツーリストに根強い人気を誇っている。さらに2018年には、マカオの老舗カジノホテル、「リスボア」のニューフェイスである「グランド・リスボア・パレス」もオープン予定。“新しいマカオ”の勢いは、まだまだ止まりそうもない。
2016.10.05(水)
文・撮影=芹澤和美