Magnificent View #963
アルハンブラ宮殿(スペイン)

(C)Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 スペイン南部のアンダルシア地方は、8世紀からおよそ800年にもわたってイスラム教徒に支配されたエリア。その文化の影響を強く受けた街並みは、ヨーロッパにありながら、エキゾチックな薫りに満ちている。

 そんなアンダルシアの中でも、イスラム文化の象徴といえるのが、グラナダにあるアルハンブラ宮殿だ。イベリア半島におけるイスラム朝最後の砦として築かれた建物で、1492年、この宮殿の陥落とともに、キリスト教徒による国土回復運動、レコンキスタが終結した。

 宮殿と名が付いているが、広大な敷地内には、王の住まいである王宮のほか、王の別荘、軍事施設や官庁、学校、浴場などさまざまな施設が備えられている。

 精緻な透かし彫りが施された柱や、アラベスク紋様で埋め尽くされた壁、水をふんだんに使った庭園など、この地に花開いたイスラムの文化を感じさせる美しいこの宮殿。落城の際、王朝最後の君主であるボアブディルは、この宮殿を振り返り涙したとも言われている。

Column

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2016.05.20(金)
文=芹澤和美