シエラ・ネバダ山脈に守られ、「アンダルシアの宝石」アルハンブラを擁するグラナダは、エキゾティックで神秘的で官能的。19世紀ロマン主義の理想郷だったとされる。自然に恵まれ、中世のロマンスにあふれた異国趣味は、もちろんいまでも旅人の憧れだ。
レコンキスタ終焉の地は、滅びゆくイスラム王国の栄華を最後に伝え、陽の沈まぬスペイン帝国はじまりの地でもある。
グラナダの、アルハンブラ、ホテル、タウン情報を3回に渡り紹介。今回はホテル。
オテル・アルハンブラ・パラス
アルハンブラの森に立つ老舗ホテルでエキゾティックな滞在を
アルハンブラに向かう坂の中腹に立つこのホテルは、アルハンブラと同じく赤い宮殿。内部の装飾も“パラス”の名に恥じない、見事なイスラム様式を披露してくれる。とくにラウンジの壁面を埋め尽くすスタッコは素晴らしく、その精細な装飾は、本家アルハンブラでの感動を思い返すのに理想的だ。
1910年に創業したホテルは、落成式に国王アルフォンソ13世が臨席したという、由緒をもつ。以来、現在までサン・ペドロ公爵家所有のホテルであり、スペインで2番目に古いホテルなのだ。
右:ダイニングに見えた光のマジック
キャリアの長いスタッフも多い。看板バーマンのペペは勤続40年、ゲストに愛されつづけている。
とはいってもホテル。客室は2008年にリノベートされ、水回りなどの内部設備は11年にリフォームを終えた。愛すべきクラシックと好ましきモダン。落ち着いているがファンクショナルな仕様となっている。
photographs:Yuji Ono
realization & text:Satsuki Ohsawa
coordination:Terumi Moriya