パレルモの台所、食の殿堂バッラロ市場
新鮮な食材が安く手に入る市場は、イタリア人の毎日の暮らしに欠かせません。イタリアのどの街にも市場はありますが、とりわけ規模の大きさで知られているのが、ここ、シチリア州の州都、パレルモの市場です。地中海のど真ん中に位置するシチリアは、東西文明の交流地点としてさまざまな文化を受け入れてきた歴史がありますが、食文化もしかり。パレルモには、シチリアの長い歴史と恵まれた気候に育まれた豊かな食文化を体現する、巨大市場があるのです。
右:ニンニク専門店。新タマネギならぬ、“新ニンニク”が本日のイチ押し
パレルモの代表的な市場は、「バッラロ」、「カーポ」、「ヴッチリア」、「ボルゴ・ヴェッキオ」の4つ。なかでも、最も巨大でスペクタクルな市場が、「バッラロ(Ballaro')」。旧市街の中心地クアットロ・カンティ(バロック時代の四辻)の南西、王宮の裏手に広がる下町地区にあり、迷宮のように入り組んだ細い路地の両側に、屋台や商店がぎっしりと軒を連ねる様子は、まさに圧巻。溢れんばかりの食材に埋め尽くされた路地は、延々と1キロほども続きます。
右:日本由来の柿も人気。完熟をスプーンですくって食べます
バッラロ市場は巨大さもさることながら、扱う食材のバリエーションと安さでも群を抜いており、市場はえてして、ご近所のところを便利に利用するものですが、バッラロに限っては、地元客のみならず、わざわざ車で買い出しにくる近隣の街の人もいるほど。最近では、観光客の姿もしばしば見かけるようになってきました。
旧市街のアラブ的ラビリントに現れる巨大食材市場は、パレルモで最も面白い観光スポットになりつつあるようです。