年末から年始にかけて、スペインの子どもたちのお行儀をよくさせる魔法の言葉がある。それは「レイェスが見てるよ」というものだ。

お供を引き連れて船で到着するレイェス

 このレイェスとはReyes Magos de Oriente(レイェス・マゴス・デ・オリエンテ)、日本語では「東方の三賢人」や「東方の三博士」などと呼ばれている人たちのこと。つまり、キリストが誕生した際、彼を拝みに東の方から星に導かれてやって来て贈り物を捧げたと新約聖書に書かれている人物たちで、白ヒゲがサンタクロースにも似ているメルチョル、茶髪のガスパール、黒人のバルタサルの3人である。彼らが贈り物を届けたのが1月6日であり、その故事にちなんで、スペインでは今もその三賢人が1月5日の夜中、子どもたちにプレゼントを届けにやって来ることになっているのである。

取材陣に囲まれるなか、市長自らお出迎え

 最近は12月25日にサンタクロースからプレゼントをもらう子どもたちも増えてきているが、スペインで圧倒的に期待されているのはこのレイェス。12月に入ると子どもたちはレイェス宛の手紙を書き、大抵は「今年一年、いい子でがんばりました。だからプレゼントに◯◯○をください」といった内容(親はそれを参考にプレゼントを買う)。そして1月5日のレイェスの到着を心待ちにするのである。その間、子どもが親の言うことを聞かなかったりすると、冒頭の魔法の言葉が登場。子どもたちはプレゼントを心配し、途端におとなしくなるというわけである。

手紙を直接渡す子どもたちも多い

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text:Miyuki Tsubota