本の力ははかり知れない。心を癒やし、強くしてくれる

 根っからの読書家である池上さん。ジャーナリストを目指すきっかけになったのも『続・地方記者』という一冊の本からだった。プライベートではミステリー好きで松本清張や今野敏のファン。の持つ力を身をもって体験してきたからこそ伝えたいこととは。

 「本の世界は、辛いことがあったり挫折したりしたときに、誰にでも逃げ込める場所。そこで空想の世界をさまよい、精神的な疲労が回復すれば現実に戻ってくればいい。逃げ道は必要ですからね。それと、自分の考えを固めるために大いに役立ってくれます」

 最後に大切な言葉をいただき、読書会は盛り上がりのなか終了。まだまだ話し足りないという思いのまま、夜の食事会へ。場所を敷地内に構える離れ家「阿あ 結ゆい抄しょう」に移し、日本料理「嘉助」の季節感あふれる一皿、一皿を味わった。箸をゆっくりと進めながら、池上さんの取材秘話などに、たびたび“えーっ!”という驚きの声。参加者同士も言葉を交わしながら、和気あいあいとした時間が過ぎていく。

 池上さんは翌日早朝に宿を発ってしまうため、お会いできるのはこの食事会が最後。CREA読者の方々の教養の高さに驚きました、という感想をいだだき、宴は名残り惜しくも幕を閉じた。

 その後は源泉掛け流し温泉、「メディテイションバス」などで思い思いの時間を過ごし翌日はネイチャーツアーへ。隣接の<野鳥の森>を「森のいきもの案内人」ピッキオによるガイドで巡る1時間半のコースで、元気をチャージした。

 彼女たちの豊かな感性から力をもらったこの2日間は、CREAにとっても刺激に。今後のさらなるパワーアップをお楽しみに!

【池上 彰さんからのメッセージを特別公開中
読書会終了後に取材した会の感想と『世界を変えた10冊の本』に込めたメッセージを、YouTubeにて特別公開しています。
>>「池上 彰さんが女性誌「CREA」読者と〝読書会〟 」の動画を見る

星のや 軽井沢(HOSHINOYA Karuizawa)
日本の原風景を思わせる敷地に、趣の異なる部屋が77室。贅を尽くした時間が過ごせる宿
長野県軽井沢町星野
電話番号 050-3786-0066
URL www.hoshinoya.com
料金 1室2名利用2泊¥54000~(通常は2泊以上)

2011.12.13(火)
text:Natsuko Endo
photographs:Mami Yamada

CREA 2012年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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