池上さんはいつ勉強しているんですか?

池上さんのユーモアあふれる話しぶりですぐに打ち解けた雰囲気に

 “星のや 軽井沢”の心遣いでふるまわれた、彩り豊かな和菓子やお茶を楽しみながら、質問は幅広い話題に。

――私は教師を目指している学生です。世界を舞台に活躍できる子どもたちを育むためには、何が必要でしょうか。

 「ひとつは“言葉の力”を磨くこと。日本だと言わなくても分かってくれるという曖昧さが通るけど、欧米は自分の力で説得、要求しないと生きていけない。よく英語が話せないっていうけど、語学力の問題ではなく話す内容がないことが多いんです」

――素朴な質問です。池上さんはいつ勉強しているんですか。

 「毎日の新聞やニュースのなかで“あれっ、これはどういうことだろう”と引っかかる事柄が出てくる。ネットで調べて物足りないときは、大型書店に行ってその分野の本を全部買ってきます。たくさんの書籍を読み進めていくと、基本となる1~2冊が見えてきて、それをおさえておけばいいということが分かってくる。全容をつかんだあとは新聞の見出しだけで、内容が見えてきます」

 池上さんの日課は本屋に行くこと。どんなに忙しくても欠かすことはないという。

 「毎日行くと本の動きがわかるんです。今日は新刊が出たとかね。まずは書店のベストセラーを見て、新刊書、フィクション、ノンフィクション、社会科学、最後に新書コーナーに寄る。滞在時間は5~6分くらい。毎週、数万円は本に費やすでしょうか。情報収集にお金は惜しめませんからね」

<次のページ> 本の力ははかり知れない。心を癒やし、強くしてくれる

2011.12.13(火)
text:Natsuko Endo
photographs:Mami Yamada

CREA 2012年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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