宗教が戦争のきっかけになるのは、なぜ?

――進化論を打ち出したのがダーウィンの『種の起源』ですが、この本の出版は、当時衝撃的だったのでしょうね。

 「“地球上の生き物は神が創造した”と信じるキリスト教徒からは強い批判を浴びました。今でもアメリカの南部の州では進化論をかたくなに否定している地域があります。なんとテネシー州では、高校の授業で進化論を教えた教師が逮捕されてしまったことが。大統領選挙においても、進化論を支持しているかどうかで票が左右されることがあるんですよ」

――オサマ・ビンラディンの教本になったのが『イスラーム原理主義の「道しるべ」』とあります。宗教が極端に偏った思想になり、戦争のきっかけになるのは、なぜなんでしょうか。

 「宗教が戦いの道具に使われているのは残念なことです。ただ、宗教の性格って風土と深く関係してると思うんですよ。中東の砂漠地帯に行くと、人間なんてあっという間に死んじゃうなと感じるわけ。だから神様が唯一絶対的な力を持っていて、弱い人間は神に従わざるを得ないと思う。日本の場合は自然が豊かで生き物が生息しやすい環境。木々や海、あらゆるところに神様がいるという発想。キリスト教も仏教も土着化することで性格が変わっていくんです」

読書会終了後に池上さんを囲んで記念撮影。まるで大学のゼミのよう?

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2011.12.13(火)
text:Natsuko Endo
photographs:Mami Yamada

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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