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不定期開催のコースでは和洋のパフェを提案

 その象徴ともいえるのが、旬の食材を主役に和・洋で用意される2種類のパフェです。

 たとえば、池田さんによる洋のパフェ「大黄」は、香りも酸味も強いルバーブを主役としたひと品。甘酸っぱいルバーブのチュイルと黄桃の色彩が華やかさを添え、羽衣のようなルバーブの錦玉羹をまとわせたヨーグルトとカルダモンのジェラートの下には、サクサクのフィユタージュと、ルバーブのコンフィチュール、ココアスポンジが。ところどころ現れる柚子胡椒クリームの清々しい香りと辛みが、アクセントを添えます。

 さらに食べ進めると、パプリカのパンナコッタとネクタリンのマリネが層を成し、最後はミョウガのジュレですっきりと。「ルバーブやフルーツの味わいを生かしつつ、一体感のあるパフェにしたいと思いました」と、池田さん。変化と調和が楽しめ、心地よい余韻が広がります。

 一方、石渡さんによる和のパフェ「和梨のあんみつ」は、随所に用いられた和の素材と和菓子の技術に、台湾のニュアンスをプラス。トップには寒天を使った宝石のように輝く和梨のコンポートのゼリー寄せをのせ、青柚子の香りをまとわせた和梨のマリネ、タピオカ、白ゴーヤの蜜漬けを干したものを添えて。

 その下から白餡と、青柚子が香るサワークリーム、ミルクレモンジェラートが現れ、塩気のある茹でピーナッツと白キクラゲがアクセントに。さらにジャスミンの花で香りをつけたパンナコッタ、白小豆のかのこ豆、ジャスミンティーのジュレが現れ、繊細で上品な調和が広がります。

 「ところどころ加えたスダチとシークワーサーのさわやかさもポイント。香りと食感を楽しめるひと品に仕上げました」と、石渡さんは話します。

2025.09.17(水)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵