
2025年7月、鎌倉・佐助にオープンした「ishi(イシ)」。姉妹店は、予約がなかなか取れず、知る人ぞ知る鎌倉・材木座海岸のレストラン、「Nami Zaimokuza(ナミ ザイモクザ)」です。
「Nami Zaimokuza」と同じく、「和」と「洋」、「甘いもの」と「料理」が融合したおだやかで詩的な世界観を展開しつつ、こちらではパティシエと和菓子職人が手掛けるデザートやお菓子を中心に提供。甘美な幸せが広がります。
9月まではコースだけを提供してきましたが、10月以降はアラカルトを楽しめ、コースは不定期で限定登場となり、より楽しみやすくなる予定です。今回は、そんなコースの中身を少し、アラカルトや手みやげになる小さなお菓子をご紹介しましょう。
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和洋のエッセンスをスイーツで
鎌倉駅西口から徒歩10分ほど。小さな一軒家を改装して生まれたのが、和菓子と洋菓子の喫茶室「ishi(イシ)」です。手掛けたのは、「Nami Zaimokuza(ナミ ザイモクザ)」のオーナーシェフを務める、フードディレクターのさわのめぐみさん。
「『Nami Zaimokuza』は完全抽選予約制で住所非公開、4席のみというクローズドなスペースなので、より身近で誰でも来られるオープンなお店を作りたいと思いました」と、語ります。

店内は大きなテーブルを囲むように6席が配された静謐な雰囲気。温かみを感じさせつつもそぎ落とされた設えが、提供されるひと皿ひと皿の色彩や香りを際立たせ、訪れる人の感覚を研ぎ澄ませます。
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提供されるのは、「和」と「洋」、「菜」と「果」、「甘いもの」と「料理」が融合した、デザートやお菓子、甘味を中心とするアラカルトやコースです。
「料理とかお菓子って、これまでは『統一感がないといけない』とか、『(フレンチやイタリアンといった)ジャンルを守らなきゃ』っていう空気があったと思うんです。でも、私はもうちょっと自由でいいじゃないかと思っていて」と、さわのさん。「洋菓子と洋食が交互に来るのは変じゃないし、使う食材にも壁は作りたくないと思いますし、おいしいものはジャンルレスにいきたいな、と。ファッションで言えば、カジュアルなスニーカーを履いて、エレガントなジャケットを羽織るとか、そういう感覚です」

シェフには、パティシエであり、さわのさんの下でも腕を磨いたパティシエの池田汐華さんが就任。また、「鎌倉は古い都なので、若い世代にももっと和菓子を食べてほしい」とのさわのさんの思いを受けて、和菓子職人の石渡華子さんも新たにチームへ。それぞれのアプローチから表現される、「ishi」ならではの驚きや発見に満ちた豊かな味わいが、訪れる人たちの五感を刺激し、心を満たしていきます。
2025.09.17(水)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵