咲き誇る花々に抱かれ、モネの絵の中を歩く
ジヴェルニーの仲間とともにモネの精神を守り継ぐ
3ヘクタールもの敷地を有する「北川村『モネの庭』マルモッタン」で、来訪者を最初に出迎えてくれるのは「水の庭」。ジヴェルニーとほぼ同じ形の池には太鼓橋がかかり、睡蓮が浮かぶ水面に光や木々の緑が反映する様子は、モネが描いた睡蓮の作品そのものだ。
「ボルディゲラの庭」はモネがルノワールとともに訪れて心奪われたという地中海の街、ボルディゲラの光景をイメージ。オリーブやヤシ、ユズなどが明るくユニークな景観を生み出している。実はこの庭はジヴェルニーにはない。「北川村にしかない庭を造ってみては」とジヴェルニーの側から提案されて挑戦したものなのだという。
そしてモネのアトリエを模したギャラリーの目の前には「花の庭」が広がる。色とりどりの草花に彩られた花壇がまるで画家のパレットのように並び、バラのアーチが華やかさをいっそう演出。春夏秋と季節ごとに咲く花は変わり、何度訪れても見飽きない美しさを描き出す。
現在「北川村『モネの庭』マルモッタン」の庭園管理責任者を務める町田結香さんと庭師チームは、冬季休園中のある日、ひとりのフランス人を出迎えた。ヴァエさんからジヴェルニーの庭の管理責任者を引き継いだジャン=マリー・アヴィサールさんだ。
「北川村『モネの庭』マルモッタン」は、2030年に迎える開園30年に向けて大規模改修が進んでいる。「水の庭」では睡蓮をさらに間近で鑑賞できるよう遊歩道を再整備し、「花の庭」では花壇の構成などを変更して、よりモネの精神を表現しようとしている。アヴィサールさんはその確認のために村を訪れたのだ。
「水の庭」の柳の生育状況や「花の庭」の色の組み合わせなどについて助言を与えながら、時間をかけて庭を視察したアヴィサールさんは、最後に改めて「花の庭」を眺めて「ブラヴォー!」と一言。
「大切なのはモネの精神を守り続けること。睡蓮の見せ方にしても花壇の色にしても、モネの精神を理解していれば自ずとモネが求めた庭が造られていきます。北川村の優秀なスタッフをジヴェルニーに連れて帰りたいくらいですよ」
その言葉に、「ホッとしました!」と安堵の笑顔を浮かべた町田さん。
3月、高知の小さな村にまた春がやってくる。
モネがこよなく愛した庭で、まるでモネの絵の中を歩くような静かで心豊かな時間が、今年もそこに待っている。
北川村「モネの庭」マルモッタン
所在地 高知県安芸郡北川村野友甲1100
電話番号 0887-32-1233
開園時間 9:00~17:00(最終入園16:30)
定休日 6月~10月の第1・第3水曜、12月1日~2月末日
入園料 1,000円
kjmonet.jp

CREA Traveller 2026年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
