必要なのは「人間にかわいがられること」
上の写真は、猫の祖先であるリビアヤマネコ。いまもアフリカなどに生息している。
数千年前、中東で興った古代文明にこのリビアヤマネコが近づいた。人間が農耕を始め、その作物を狙ってネズミたちが集落に集まったのがその理由。リビアヤマネコは獲物であるネズミを狩るために集落に近づいたのだ。
これに喜んだのは人間たち。大切な農作物を盗み食いするネズミたちを駆除してくれるし、見た目もかわいいしということでリビアヤマネコをかわいがり始める。リビアヤマネコのほうも安全なすみかが得られるし食糧は豊富だしなぜか人間はかわいがってくれるしと、人間のそばでくらしはじめた。そうして人のそばで生きるようになったリビアヤマネコは長い年月をかけてイエネコ(つまり猫)へと進化していった。これが猫誕生の歴史だ。
現代では猫は「ネズミを捕って役に立つ」という実用よりも、「かわいくて癒される」ペットとしての存在意義が大きいだろう。今日び、飼い猫がネズミを捕ってきたら悲鳴をあげる飼い主のほうが多いはずだ。
さて、このリビアヤマネコも十分かわいいが、やはり野生ならではの鋭さがある。厳しい野生を生き抜くのだから当然のことだ。別に人間に気に入られるための外見じゃない。
だが現代の飼い猫はどうだろう。自分で狩りをする必要もなく、敵から身を護る必要もない。必要なのは人間にかわいがられることだけ。
するとどうだろう、Baby Schemaが強くなっていくのだ。頭はより大きく等身が短く、目は丸く、頬は丸く、より「かわいらしさ」が強調された姿になっていく。猫が勝手にそうなっていくわけではなく、人間がより“かわいらしい”と感じる姿の猫を選んで繁殖していくためだ。そうすると世代を経るごとに飼い猫はどんどんかわいらしさを強めていく。要は人間が人間好みの姿に猫を変えていっているのだ。
