2階から伝わる“なにかの気配”

「……なんすか、今の?」

「え、2階に人いたんですか、今日?」

「いや……俺たちだけって聞いていたけど」

 嫌にはっきりとした“すとん”という音。

「……どうすんすか」

「聞かなかったことにして作業するのも、本当に人が居たら失礼になっちゃうしなぁ~。しかたない、僕が見に行――」

 先輩が言いかけた矢先、2階からまたしても音が響いてきました。けれど、今回は襖を開けるような音ではなかったのです。

 とん……。
 とん……ギィ。
 とん……ギィ。
 とん……。

 誰かが階段をゆっくりと降りてくるような音でした。

「え、普通に誰か居るじゃないっすか」

 Sさんが少し声をひそめてからかいましたが、先輩は血の気が引いた表情で黙っていたそうです。

 とん……。
 とん……。
 とん……とととっ。

 ドンッ!!

 突然、ゆっくりと降りてきているように聞こえた足音が足を踏み外したかのように乱れ、玄関前の階段入り口付近で鈍く重たい音に変わりました。

 突然の出来事に一同が身をすくめていると、起き上がるような音など一切せず、不意に女性の声でこう聞こえてきたのだそうです。

「人が来ているじゃないのぉ」

 バコッ。

 まるで声の主が突然台所に移動したかのように、冷蔵庫を開けたような音が響きました。

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