共演の福地桃子さんとの何気ない会話

――どんなふうに健流というキャラクターを作っていかれたのですか。

 僕はいつも、演じる前にその人にどういう背景があるかを考えます。今回僕が演じた健流には、繊細なセクシュアリティを持っているという特徴がありますが、統計的なデータも調べて、どうやって今の「健流」になったかを、自分なりに作り上げていきました。

 僕は性格的にも、与えられたキャラクターになりきる、ということが苦手で。一度自分の中に落とし込み、そこから自分との共通項を探して重ね合わせていくというパズルのようなことをしています。

――役作りについて、竹馬監督とはどのようにお話されたのでしょうか。

 とにかくよく話をしました。一緒に本読みをしながら「健流だったらどうしたと思う?」「僕はこうだと思います」「そうだよね、僕もそう思う」という感じで、手探りでピースを集めていく時間をすごく大事にしていただきました。

 演出に関しても「こうしてほしい」というリクエストはほとんどなくて。どちらかというと僕に委ねてくださる形で、一緒に決めていったという印象です。

――共演の福地桃子さんとの関係性も、話し合いで構築されたのですか?

 そうですね。福地さんともかなり一緒に本読みをしました。ただ、役作りについて話し合う時間よりも、「どんな食べ物が好き?」など、他愛もない会話が多かったように思います。

 何気ない会話の中で、お互いにどんな人間なのか深く知ることができました。

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