「タコあたま天そば」を始めた“面白い理由”
なぜタコのあたまだけを手に入れたのかと質問するとそれがまた面白い。魚寅でマグタコが名物になっているように、タコの足は飛ぶように売れる人気商品だ。しかし、あたまの部分は余ることが多いそう。鮮魚市場の卸からそんな話を切り出され、それなら天ぷらにしようと仕入れはじめたという。
そんな話をしていたら「タコあたま天そば」が完成した。こんがり揚がった「タコのあたま天」。そのどんぶりにのった姿は優雅であり完成された一品という印象だ。錦糸町でこんなに美しい料理に出合えるなんて感無量。
そんなことを思いながら、一気にタコのあたま天をかじると、これが熱すぎて大変だった。「アチアチッ~ヒフハフハフハフ…アチアチィ~」と叫んでしまい、籾山店主に大笑いされてしまった。
よくよくみるとタコのあたまには玉子がびっしり入っていた。「あ、アタリですね」と籾山店主もにっこり。
アツアツの「タコのあたま天」と格闘しつつ、こちらも一気に食べきってしまった。
トッピングの「イカワタG」は絶品のうまさで思わず…
そして、放心状態である。ふーっと一息ついて、またメニュー表をみてみると、トッピングに「イカワタG」と記されている。これは何かを籾山店主に聞いてみたのだが、これがさらにすごい世界への入り口だった。
籾山店主は「イカゲソ天」をつくるためにイカの仕入れにいった。しかし、スルメイカはゲソの部分が短くどうも納得できない。そこで仕入れたのが「ドスイカ」というややゲソの長いイカである。
内臓を引っ張って、骨を取り、耳、胴体、内臓、ゲソに分けて加工。内臓を塩、酒、にんにく、七味唐辛子でたたいてマリネして作ったものが「イカワタG」だというのである。
トッピングだけで「イカワタG」を注文できるか聞いたところ、もちろんOKだというので、さらに追加注文し、ついでに仕事を放棄して「緑茶割り」を注文。昼下がりのハンセー(飲酒の隠語)タイムへと突入だ。
そして、出てきたのが信州味噌のような色と外観の「イカワタG」だ。
箸の先で少しつついて食べてみる。これはうまい。
味はイカワタのうま味を十二分に発揮し、胴体の一部がたたいて入っているので歯ごたえもよい。これはパン(バゲット)にぬって食べてもみたい。
それと同時に1つ判明したことがある。
