兄弟仲が原因で解散、弟・リアムの人生はどん底へ
全盛期を過ぎても、兄弟の仲は悪化の一途をたどる。リアムのドタキャンや、怒ったノエルが立ち去るプチ脱退騒動がたびたび起こった。
2009年、パリの音楽フェス公演が突如中止され、ノエルが電撃脱退を発表。18年間の活動に終止符が打たれた。当時の状況には諸説あるが、兄の言い分では、争いばかりの日々でつもりつもったストレスが限界に達していたという。
オアシスを一生続けたかったリアムからすれば、連絡を絶ってソロ活動をはじめた兄に「逃げられた」気持ちだった。自身も残ったメンバーと新バンド、ビーディ・アイを結成したものの、うまくいかず5年ほどで空中分解してしまう。
二十余年もの生業を失ったリアムは、40代で人生のどん底へ。妻と離婚して泥沼裁判に陥り、不倫相手との子どもの養育費を巡る争いも起きた。
リアムに救いの手を差し伸べてくれた、意外な人物
表舞台から去り、資産も減った酒浸り生活のなか救いの手をさしのべてくれたのが、マネージャーであり新恋人のデビー・グウィサー。11歳ほど年下でありながら「じつは繊細で弱気」だというリアムをきちんと叱れる女性だった。「吹っ切って音楽の道に戻りなさい」と激励したばかりか、人の話に耳を傾けるよう謙虚にさせたと言われている。
リアムは、健康的なライフスタイルを身につけていった。パーティーの回数やドラッグの量を減らし、橋本病を抱えながら喉のケアもこころがけ、腰を痛めるまでは早朝のジョギングをつづけた。
「俺の居場所はやっぱりマイクスタンドの前だ」。覚悟を決めたリアムは、ソロ活動に挑戦。アデルやブルーノ・マーズを手がけた作曲家とタッグを組み、オアシス風ながらモダンなアルバム『As You Were』(2017)によって全英ナンバーワンを達成し、栄誉あるブリット・アワードも受賞した。
故郷マンチェスターでテロ事件が起こると、初の単独公演の収益を寄付し、慈善コンサートにも参加。キャリア初期以来となる130回公演ごえのツアーも行って若者のファンもつくようになり、2022年には縁深いネブワースで17万枚ものチケットを完売させた。
