この記事の連載
杉野遥亮さんインタビュー【前篇】
杉野遥亮さんインタビュー【後篇】

「恋愛小説も映画も普段は見ないんです」――そんな杉野遥亮さんが、岡田惠和さんの脚本に惹かれて出演を決めた映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』。役のこと、自分の高校時代のこと、そして大切な人のことまで、まっすぐな言葉で語ってくれました。
岡田惠和さんの脚本は点と点がスムーズにつながる

――今回出演されている映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』は、「令和一泣ける」と話題になった小説が原作です。本作の脚本を読んだ際、まずどんなことを感じましたか?
プライベートではあまり恋愛小説を読んだり、恋愛映画を観たりしないので、新鮮に感じられました。原作をベースに脚本家の岡田(惠和)さんが台本として落とし込んでいただけたことで、一読しただけで伝わってくるものになっていて、演じる側としてはとてもありがたかったです。感動するだけではなく、自分がこの役をどう演じ切るか、どのようにすれば100%のパフォーマンスを出せるかというところに、より意識を集中することができました。
――「ありがたかった」とは、どんな点にそう感じましたか?
今作への出演を決めた理由のひとつは、(恋愛ドラマの名手として知られる)岡田さんの脚本に触れてみたいと思ったから。言葉のチョイスからも個性を感じますし、多くを説明しなくとも点と点だけで伝わってくる感じが素晴らしいですよね。
登場人物たちが製作者側の都合で動かされているのではなく、一人一人がちゃんと自分たちの気持ちで行動しているので、読んでいて嬉しくなります。その点をありがたいと感じました。

――杉野さんは佐藤日向の13年後を演じられています。高校生の日向を演じた齋藤潤さんとは演技の相談はされましたか?
齋藤くんはすごく自分の演技に集中していましたし、現場ではあまり話していないんです。でもその集中している雰囲気がすごくいいなと感じましたね。ご一緒するのはとても心地よかったです。
――若手のキャストが多かったので、杉野さんは現場を引っ張っていく存在だったのでは?
いやいや、全くそんな意識はないです。先輩風をふかせるタイプじゃないんで(笑)。現場では、自分がやれることはなんだろうとずっと模索していたのですが、完成したものを観たときに「ちゃんと自分にも役割があったんだ」とほっとしました。13年後、日向はこういった気持ちで生きているんだということを明確にできたのかな、と。
撮影現場でこの作品での自分の役割、みたいな大きなことは考えてはいなかったけど、13年後の大人パートがちゃんと意味のあるものになるといいなとは意識していました。
2025.10.15(水)
文=高田真莉絵
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=佐藤友勝(Rond)
スタイリスト=井田正明