甘いおやつでホッとひと息つける「ニョニャ・カラーズ」

 ふたつ目は、ニョニャ料理専門のカフェ「ニョニャ・カラーズ」です。クアラルンプール中心部のショッピングモール「スリアKLCC」や空港(KLIA2)などに店を構えていて、私も滞在中かならず立ち寄ります。

ニョニャ料理とは、15世紀ごろに中国人がマレー半島に移り住み、現地の女性と結婚して生み出された食文化のこと。多種のスパイスを重ねるように作り上げる繊細な味で、なかでもカラフルなおやつが有名。
「ニョニャ・カラーズ」の店内は、ニョニャ文化の特徴であるパステル色のタイルに飾られている。この可愛らしい店内で、おじさんも若者もおやつに夢中。

 この店の特徴は、なんといっても、店頭のショーケースに並んだカラフルなおやつ。ココナッツミルク、米粉、もち米、タピオカなどを使ったおやつが約50種以上。滑らかな食感の蒸し菓子(詳しくはこちら)から、おはぎに近いお米の菓子など、様々な種類を提供しています。さらに、揚げたスナックやチキンカレーなどの軽食も充実。

ひとつずつバラ売りなのも、ひとり旅にうれしいポイント。指でさして注文できて、明朗会計だ。持ち帰りもできる。
手前より時計回りで、花びらの青色でもち米を染色した「クエ・スリ・ムカ」は、マレーシア版のおはぎ。ピンク色のしましま「クエ・ラピス」は、ういろうにそっくり。緑の「アンクー・クエ」は緑豆餡入りの餅菓子。
ココナッツミルクを使った甘いおしるこ「ボボチャチャ」。スイートポテトとタピオカが入っていて食感も楽しい。

 本来、ニョニャのおやつは、来客をもてなすときや結婚式で配られていた儀式用のお菓子。そのためこのようなカラフルな色と凝った味になったのだそう。甘すぎず、和菓子にも通じるやさしい味で、旅で疲れた体に沁み渡ります。

 マレーシアを旅していると、多くのマレーシア人の優しさに出合います。幼い頃から自分とは違う民族と接する機会が多かった彼らは、私たち旅人に対しても優しく接してくれるように思います。今回紹介したローカルチェーン店でマレーシアの“ひとりごはんのコツ”を掴んで、屋台やレストランでの食事もどんどんトライしてみてください。マレーシアは、ひとり旅もひとりごはんもウエルカムな国です!

慣れないマレーシアへのひとり旅なら、ローカルカフェ「ニョニャ・カラーズ」がおすすめです。チェーン展開のカフェなので、清潔で、女性のひとり客も多いから安心。チェーンといってもローカルブランドなので、本場のマレーシアの味を提供しています。とくに、店頭に並んだマレーシアのお菓子が人気! メニュー名と値段がわかりやすく表示されているのも旅行者にはうれしいところですね。ぜひお試しください。(動画提供:Naokoさん)

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2016.03.04(金)
文=古川 音
撮影=三浦菜穂子、古川 音