旅館道 その3
「伊豆の海の幸をひとひねりした料理を味わう」
ほくっとした金目鯛に、椿油が香ばしさを添える。“金目鯛の椿蒸し”は季節の特別会席で味わえる(こちらは3月からのメニュー。季節により特別会席の内容は異なる)。
伊東は、伊豆半島にあって、相模湾の美しい海と大室山、小室山など緑にも恵まれた土地。伊東港には、毎日新鮮な魚が水揚げされる。中でも脂がのって、ほっくりした身の金目鯛は、伊豆・伊東の名物。
夕食の台の物は、この金目鯛を名産の香り高いぐり茶で蒸し上げたもの、金目鯛の煮付け、和牛の三味焼きの3種から選べる。グレードアップした特別会席になると、台の物は蒸し上げた金目鯛に白髪ネギ、針ショウガ、木の芽をのせて、仕上げに熱々の椿油を回しかける“金目鯛の椿蒸し”に。目の前でジューという音を立てて、香ばしい香りが立ち上る。肉厚の金目鯛に、油がいい感じのコクを出す。
淡いピンクが美しい、新鮮そのものの桜海老。
先付の“生桜海老のしょうが加減醤油”も、新鮮だから出せる、ピンクの色も鮮やかな桜海老の風味がシンプルな味付けで生きる一品。伊豆の海の恵みを感じる献立だ。
脂ののった干物、何皿も並ぶお惣菜のどこから箸をつけるか、朝から楽しい。
朝食は、驚くほど品数いっぱいのお惣菜が並ぶ。地元産の魚の干物の焼き物も脂がのっていて、朝からうれしくなる。
かけ流しの湯、日本庭園、伊豆の海の幸と、日本旅館の魅力を満喫できる「界 伊東」。次回は、宿を彩るガラス工芸やつるし飾り、暖かな伊東で花開く椿を取り入れた、宿での“ご当地楽”と呼ばれるアクティビティや、次々に開く花の旅について紹介する。
星野リゾート 界 伊東
所在地 静岡県伊東市岡広町2番21号
電話番号 050-3786-0099(界予約センター)
URL http://kai-ito.jp
小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel
Column
和の宿を味わう「旅館道」 星野リゾートのおもてなし
伝統ある日本旅館、雰囲気には憧れるけど、物怖じしたりはしていませんか？ そんな和の宿の魅力とその味わいを気後れせず楽しむための心得が「旅館道」。この連載コラムでは、全国に広がる星野リゾートの至福の名宿を巡りながら、「旅館道」を追求していきます！
2016.02.27(土)
文＝小野アムスデン道子
撮影＝鈴木七絵
