古いストレスの記憶を消す、新生クレ・ド・ポー ボーテ
「肌はきわめて知的、物事をちゃんと考えている」。そう訴えて私たちを驚かせたのは、資生堂の研究者。そもそも脳と肌は、同じ細胞分裂のルートから生まれていて、かなりよく似た仕組みを持っていることがわかってきた。だから“第三の脳”であると。
つまり肌は脳を通じてではなく、肌そのものでも“ストレスを感じ取っている”という事実を証明。しかも肌はストレスを察知できるからこそ、自らそれを回避する知性をも持っている、とんでもなく賢い器官なのだ。そうした発見をベースに開発されたのが、クレ・ド・ポー ボーテのスキンケアだったわけだが、今回、肌がさらにそのストレスを“記憶”してしまうことを実証。肌に脳と同じ記憶レセプターがあることまで発見して、クレ・ド・ポー ボーテのラインナップを一気にリニューアルしたのだ。
肌の記憶力は、いいことも記憶するけれど、悪いことも記憶する。だから過去に受けた古いストレスの記憶まで遡ってダメージを消していくという、素晴らしすぎる働きまで持ってしまったのが、新生クレ・ド・ポー ボーテなのである。
ちなみにストレスを受けるとなぜダメージが起き、しかもなぜストレスを記憶してしまうのかの仕組みまでが詳しく解明された。肌細胞は、ストレスを受けると興奮状態になるが、肌が知性でそれを察知し、秒単位で沈静させてストレスカット。でもこの数秒での沈静がうまくいかなくなると、細胞の興奮状態が続き、たちまちダメージが生まれてしまう。つまりこの沈静システムの低下が、未来にまでストレスを加算させてダメージを大きくしていたのだ。新生クレ・ド・ポー ボーテは、その記憶力を司る脳にもあるレセプターにも働きかけて、悪い記憶を消し去ってくれる。
ともかく肌に記憶力があることが、ここまでハッキリ証明されたのだ。そして化粧品は、悪い記憶と戦う術も得た。あとは良い記憶をたくさん残してあげればいいわけで、肌研究と化粧品は、本当にすごいところまで来てしまったのである。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
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2016.01.02(土)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫