vol.20_Parfums Christian Dior

ディオールのメイクアップの歴史は“口紅”から始まった

新リップ(全31色)の中から注目カラーをピックアップ。右上から:ミラーの輝きを放つ大胆フューシャ。685(オーバーサイズ) 繊細ローズで肌色を美しく。667(アヴェニュー) 中央:ディオールこだわりのピンクカラーを再解釈した人気No.1色。976(ビー ディオール) 右下:永遠の幸せ色! 553(スマイル) 左下:日本限定の特別なピンク。255(ベビー ディオール) ディオール アディクト リップスティック 各3,900円/パルファン・クリスチャン・ディオール

 今回は「ディオール アディクト」の巻。口紅はあまりつけないという人もこのカタチをご存知の人は多いはず。デビューは2001年、今年で15周年を迎えたディオール ビューティのアイコンのひとつである。実はディオールと口紅には深い関係があって、その原点となる製品が誕生したのは1949年のこと。

 「1947年、初のコレクション“ニュールック”で成功を収めたクリスチャン・ディオールは、エレガントな女性の頭からつま先まで飾るためには香水や化粧品も重要と考え、パルファン・クリスチャン・ディオール社を設立します。「女性の笑顔もドレスアップしたい」とムッシュ ディオールが生前に唯一自分で手掛けたメイクアップ製品が口紅だったのです。当初は顧客のために限定版として発売し、1953年にクチュール ブランドとして初となるリップスティックを発表。ムッシュ本人が選んだ生地からインスパイアされた8色が誕生しました」と話すのはパルファン・クリスチャン・ディオール シニア PR マネージャーの藤本教子さん。

 当時、ディオールのファッションショーでは真っ赤なドレスがアクセントに用いられていたそうで最初の8色は赤やオレンジが中心。パッケージも意表をつくもので一つはドレッサーに飾るオベリスク型。もう一つは外出先でも魅力的な仕草で口紅を纏えるハンドバッグに収まるケース。機能的で美しく、ワクワクする驚きを届けるディオールのカラーストーリーはここから始まったのである。66年に2つめの口紅「ウルトラ ディオール」が発売に。87年にブルー×ゴールドのパッケージの「ルージュ ア レーブル」に変わり、130色以上のシェードが発表された。そして2001年、ジョン・ガリアーノのインスピレーションを受けて「アディクト」が誕生!

「アディクトとは“虜にする”、“中毒”という強い意味があってネーミングどおりに世界中でセンセーションを巻き起こしました。広告ビジュアルではそれまでにないダークな世界観を打ち出し、銃の薬莢をイメージしたパッケージは女性のメイク時のアクションを変えたと言われたほど。それに何と言っても“輝き”にこだわった独特の色と質感。口紅がファッションアクセサリーとして注目されるようになったのもこのときから」(藤本さん)

2015.12.29(火)
文=吉田昌佐美
撮影=西原秀岳

CREA 2016年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

冬にしたいふだんのこと、と映画

CREA 2016年1月号

冬にしたいふだんのこと、と映画

定価780円