Magnificent View #716
リマ大聖堂(ペルー)

(C) R. Ian Lloyd / Masterfile / amanaimages

 リマ旧市街に立つこの大聖堂は、世界遺産リマ歴史地区を代表する建物。その教会としての歴史はペルーで最も古く、1535年、インカ帝国を滅ぼしたスペイン人のフランシスコ・ピサロが、リマを建都すると同時に建てた小さな教会にさかのぼる。

 建設当時は簡素な教会に過ぎなかったものの、 1541年、法王パウロ3世によって大勅書が発せられると、本格的な増築がスタート。その後、幾度とリマを襲った大地震のたびに修復と増改築が繰り返された。そのため、建物にはゴシックからルネッサンス、バロック、ネオクラシックまで、それぞれの時代の建築様式が混在している。

 聖堂内には、さまざまな聖人の彫刻が施された木造の聖歌隊席や、歴代の大司教たちが眠る地下納骨堂などがある。モザイク画で彩られた部屋の中には、ピサロの棺も。

 かつての支配者が植民地支配の拠点として建てた大聖堂。今はペルーに暮らすカトリック教徒たちの心のよりどころとなり、日々、多くの人たちが祈りに訪れている。

Column

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2015.09.16(水)
文=芹澤和美