個性豊かなメンバーが生み出すケミストリーに興奮
虚弱。という名前から、繊細だったり、どこかダークな印象を持たれるかもしれないが、描き出す情感の振り幅が大きく、繰り広げられるドラマチックな展開にはグイグイと引き込まれるし、地に足の着いた安定感ある演奏から放たれるサウンドには、何か気品のようなものさえ感じるほど。しかも4人のキャラクターがあまりにバラバラなゆえ、それらがパフォーマンスの中で生み出すケミストリーが毎回違い過ぎ、どんな表情の曲に仕上がるか楽しみになる。ゆえに次のライヴにも足を運びたくなるのだ。
2007年に結成し、2008年に現メンバーに落ち着いたという。“虚弱。”という名前は、結成当時のメンバーに腹痛持ちや精神的に虚弱な人がいたからだそうだが、今はどうだろう。虚弱だからこそ体感し、表現できるものがあるとは思うものの、タフな部分がなければ、これだけの演奏は展開できないはずだ。現在、来春の発売に向けてファースト・アルバムを制作中。とても楽しみにしている。
写真:三島タカユキ
虚弱。:壷内佳奈(ギター)、新井深雪(ベース)、河野まな(ドラムス)、海野稀美(ピアノ/シンセサイザー/グロッケンシュピール)
Column
LIVE万華鏡
音楽ジャーナリストの伊藤なつみさんが観た、街のライブハウスからドームでの公演まで、あらゆるジャンルの旬なLIVE
2011.10.15(土)
text:Natsumi Itoh photographs:Takayuki Mishima