ロティ・チャナイのピサン(バナナ)入りがうまい!

 「マレーシアごはんの会」イチオシの具は、ずばり、バナナ。現地語では「ピサン」です。

左:「ロティ・チャナイ・ピサン」。輪切りにしたバナナと砂糖(またはコンデンスミルク)を包んで焼いてある。屋台によってはバターが折りこまれていることもある。
右:火を通したバナナは甘みが増し、やわらかく溶けている。これが弾力のある生地に絡み合って、一緒にのび~る。(写真提供:竹内千尋さん)

 やわらかく溶けたバナナがふんだんに入っていて、スイーツ感覚のロティ・チャナイ。ここに、スパイスの効いたカレーソースをかけて食べれば、バナナの“甘”とカレーの“辛”といった相反する2つの味が絶妙に重なり合い、もう最高の“甘辛味”に! この味、たとえるなら、チーズ+蜂蜜、ピザ+パイナップル(ハワイアンピザ)に似ているので、これらの組み合わせが好きな人はぜひ挑戦を。

 また、「サディン」とよばれるイワシのフレークを包み込んだロティ・チャナイも絶品です。サディンは唐辛子のオイル漬けになっているため、味はほんのりスパイシー。これもカレーソースと一緒に召し上がれ。

「ロティ・チャナイ・サディン」。刻んだ玉ねぎとイワシが入っていて、ツナ入りのホットサンドのような味。

 さらに「テロール」こと、卵入りも人気です。カレーと卵の相性は抜群なので、まろやかな口あたりが楽しめます。

 また、中の具だけでなく、必ずセットになっているカレーソースにも注目。お店によって味が違うから、どんな種類が出てくるかもお楽しみ。辛さはひかえめなので、スパイシーな味が苦手な人も大丈夫。

左:「ロティ・チャナイ・テロール」。溶き卵を中に折りこんで、そのまま焼いてある。
右:カレーソースの代表的なものは、豆カレー(ダル)やチキンカレーの汁のみ。肉が入っていたら超ラッキー。
こちらは具の無いプレーン。基本のスタイルだ。どのロティ・チャナイも、手で生地をちぎり、カレーソースをつけながら食べる。

 ついつい駆け足で紹介してしまいましたので、ここで一旦「ロティ・チャナイ」の種類をまとめておきますね。具無し(Plane/プレーン)、卵(Telur/テロール)、玉ねぎ(Bawan/バワン)、チーズ(Cheese)、バナナ(Pisang/ピサン)、イワシ缶(Sardine/サディン)、ジャム入り(Kaya/カヤ)など。マレーシアに行ったら、ぜひ日替りで色んな種類を食べ比べてみて下さい。

 さてさて。もうひとつ「ロティ・チャナイ」が人気の大きな理由があります。どんなシンプルな味でも“焼きたて”“作りたて”の料理が絶品なように、ロティ・チャナイは、生地からその場で焼き上げる“できたてホヤホヤ”の料理なのです。さらにはお客さんの目の前でくり広げられる、職人の華麗な技にも注目。他の料理ではなかなか見られない、ロティ・チャナイの醍醐味です。

2015.02.05(木)
文=古川 音
写真=古川 音、三浦菜穂子