SK-IIとヘレナ ルビンスタインが開発したマシンとは?
それがここ数年で一変した。まずSK-IIが開発した「マジックリング」は、最新鋭の肌研究データを内蔵したうえで、ハイテクの画像解析機能を備えた独自の肌分析機。キメやシワやシミの状態のみならず、きわめて測定が難しいハリやツヤやくすみのレベルまでを解析して、同年齢との比較や未来の肌までをシミュレーションし、その肌のすべてを知ることができるようになった。怖いけれど、すごい分析。しかも小さい。これまで巨大なキャビン型の機器でもわからなかったことがわかるのだ。これが全国の店舗に設置され、なおかつわずか15分で分析が完了する。すごい進化だ。
ちなみにSK-IIはこの機器とともに、ハリ創造美容液ステムパワーをデビューさせ、ハリ作りをより確実なものにした。ハリを作るとあらゆるトラブルが解消されることも、マジックリングで証明したのだ。
一方、ヘレナ ルビンスタインは、スマホをそのまま肌診断機にしたような、「スキンプロファイラー」を開発。これがまさに手のひらサイズなのに見事な性能。先頃、スマホにくっつけて使う“肌の水分量チェック”ツールが発売されて話題だけれど、もちろんまったく次元の違うもの。白色光や偏光などを用いた超精密画像分析ソフトを搭載し、肌の均質性から肌深くのシミまでを画像にする。特に肌内部の撮影は、吸収波長を調べることでヘモグロビンや肌の奥の水分量まで測れるのだ。もちろん同年齢の肌データとの比較で肌を評価。チェックはほんの数分で完了する。
かくして、その結果をそっくり反映して、1本の美容液にしてくれるリプラスティ プリスクリプツが誕生。ここまで簡単に、自分だけの化粧品が得られるシステムはなかったと思う。ついに本当の意味で、肌診断がスキンケアに生かされるようになったのだ。5万円と高価だが、最先端の肌診断も含めるとその価値はある?
肌の弱点がわかっていれば、その分だけ無駄のない集中的なスキンケアができるのは言うまでもないこと。肌の中が見えないから、やみくもになりがちなスキンケア。見えれば効く、測れれば治せるし、キレイも早い。見る機器の進化は化粧品の進化の何倍ものパワーとなるはずなのだ。自分の肌の本当の評価を今すぐ知りたいならば、ともかくSK-IIとヘレナへ。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2014.12.03(水)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫