ビジネスにも活きる東大生の勉強法

 ぶっちゃけ、「この条約は何年何月何日に締結されましたか?」という問題であれば、勉強したばかりの高校生であっても答えられないことはないと思います。

 確かに難しいとはいえ、訓練すれば誰でもある程度はできるようになりますよね。ですが、東大の入試問題は解けません。

 キーワードが与えられて、そのキーワードをいかに関連付けるかが問われるからです。東大生は先ほどお話しした「10個の関連付け問題」が得意で、どんな単語を言っても10個つなげて違う言葉に変換することができてしまいます。

 僕は今まで200〜300人じゃ足りないくらいの東大生と話してきていますが、どんな科目であっても、どんなキーワードであっても、できない人はほぼ見かけたことがありません。

 これは彼らが「特別に記憶力がいい」からではないと思います。知識を常に「動かす」訓練を積んできたからです。

ビジネス社会に必要な「動的知識」

 では、東大生は普段どんな勉強をしているのでしょうか?

 たとえば、数学の勉強法を見てみましょう。

 多くの東大生がやっているのは、「公式を証明する勉強」と「それを応用して別の公式につなげる勉強」です。

 たとえば、図形の公式を覚えるだけでなく、「なぜこの公式が成り立つのか?」を自分で導出してみる。そして、「この公式を使えば、どんな別の問題が解けるようになるのか?」を考える。さらに、「この公式はベクトルではどうなるのか?」と広げていく。

 こうした学習を通じて、公式は単なる「暗記すべき情報」から、「自由に操れる道具」へと変わっていきます。

 そしてここが重要なのですが、こうした「動的知識」の状態を作ることができれば、「社会に出てから使うことはない」という批判にも反論をすることができます。

 たとえば、「明治維新」だってビジネスに応用することができる、ということです。もしも、自分の会社をこれまでとは異なる新しい体制へと移行させたいと考えたとき、「明治維新がなぜ成功したのか」を分析することは、極めて実践的なヒントになります。

 260年以上続いた江戸幕府という巨大な旧体制が、なぜ比較的短期間で解体され、まったく新しい近代国家へと生まれ変わることができたのか。ここには、組織変革に通じる本質的な構造が詰まっています。

 たとえば、明治維新が成功した背景には、「外圧(ペリー・黒船)という危機感の共有」がありました。

 これを会社経営に翻訳すれば、「市場環境の激変や競合の台頭という外部要因を、組織全体で危機として可視化し共有することが、変革の起爆剤になる」という示唆が得られます。

 トップが「うちも変わらなければ潰れる」と一人で叫んでいても組織は動きませんが、黒船のような「動かしようのない現実」を全員が直視したとき、初めて変革のエネルギーが生まれるのです。

 あるいは、明治維新が単なるクーデターで終わらず近代国家の樹立にまで至ったのは、「大政奉還による旧体制側の名誉ある撤退」と、「廃藩置県による中央集権体制の素早い確立」という二段構えの設計があったからだと言われています。

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