客も驚く骨切りの繊細さ
次にいただくのは、夏が旬の鱧と胡麻豆腐の御椀。3日間かけて丁寧に引かれた、枕崎の枯本鰹と5年間蔵囲いした利尻昆布の合わせ出汁。そこに鱧から取った澄んだ出汁が組み合わさり、素材のうまみを一層に引き立てる。
「大分で獲れた鱧の葛打ちと、自家製の胡麻豆腐。主張しすぎない食材同士を合わせることで、胡麻豆腐の存在感も示しながらも、主役である鱧の味を引き出します。香りと、鱧そのもののうまみ、胡麻豆腐の優しいけど濃厚な味わいのマリアージュを愉しめる一品です。
骨切りを非常に細かく入れておりますので、驚くほど骨が当たらない。お客様から『説明を聞かないと鱧だと気づかなかった』と言われるぐらい、花びらのようにふわっとした食感です」(女将)
料理に使われる器にもこだわりがあるという。
「主人と私が収集した器を使って、器からもおもてなしを感じていただきつつ、料理の魅力を際立てます。椀物は高台(皿の底にある足の部分)の高い、品格のある漆器を使うことで、特別感のある一皿を演出しました」(女将)
