Netflixが放った恋愛リアリティーショー『ラヴ上等』。画面に映し出されるのは、令和の時代において、もはや絶滅危惧種ともいえる「剥き出しの若者たち」です。
彼らが時に拳を交え、時にまっすぐに不器用な愛を告白する。地上波テレビではコンプライアンスの隙間に消えてしまうような、あまりに生々しい人間ドラマ。その混沌とした熱狂のなかで、視聴者の鼓膜を捉えて離さなかったのは、懐かしい響きでした。
その楽曲は、あまりにも唐突で、そして震えるほどに「正解」を導き出していました。イントロから心臓を直接蹴り上げるような、硬質なキックと高速の四つ打ちビート。四半世紀以上も前に日本中を狂乱させた、globeの「Love again」です。
この選曲は、SNSを中心に世代を超えた衝撃を与えました。当時のヒットをリアルタイムで知らない令和ロマンの高比良くるまは、主題歌について「(この番組のための)書き下ろしの曲だと思った」と発言しています。
90年代という、狂乱と衰退が背中合わせだった時代の象徴であるglobe。そして、タイパや効率が最優先され、感情すらも最適化の波にさらされている令和の若者。一見、対極に位置する両者が、なぜ今これほどまでに激しく、切なく共鳴したのでしょうか。そこには単なる「懐メロの再利用」では片付けられない、深い精神的シンクロニシティが存在しています。
小室哲哉が「東京」で目撃した、愛の死滅
メイン楽曲「Love again」(1998年)を紐解く上で欠かせないのが、生みの親・小室哲哉が当時抱いていた、極めて個人的で切実な飢餓感です。
90年代中盤、音楽シーンの頂点に君臨し、すべてを手に入れたはずの小室。しかし、海外制作を経て久しぶりに帰国した彼が目にした「東京」の景色は、以前とは全く違う無機質なものに映ったといいます。
「ずっと僕はアメリカに住んでいたけど、東京に帰ってきた時に、なんとなく愛が足りないなと思って、その時『Love again』というのがフッと浮かんだ。あとはちょっと恋愛に苦手だったり、不器用だったり、社会のルールに乗り切れないみたいな……」
番組のイベントに出席した小室は、当時の制作秘話をこう語りました。かつて自分が熱狂の渦に巻き込んだはずの都会から情熱が消え失せ、人々が記号化されていく。そんな「愛の欠落」を鋭敏に察知し、乾いた喉で水を求めるようにして書き上げたのが「Love again」だったのです!
「自分はまだ、誰かを、あるいは自分自身を愛することができるのか」という実存的な問い。この渇望こそが、20年以上の時を経て『ラヴ上等』の出演者たちが抱える「本気でぶつかり合いたい」という根源的な欲求と、完璧にリンクしました。
