忘年会は重い空気に包まれ……
「あ……はい」
もうSさんにも取り繕えないほど、その場の空気はどんよりと沈みきってしまいました。
「帰るわ」
「え? あ、ちょっと先輩!」
「いいって……!」
結局、N先輩はそのまま飲み会の席を後にし、Sさんたち一同も重い空気のまま忘年会をお開きにしたそうです。
◆◆◆
年明け、Sさんは実家に帰省していました。
散々な忘年会でどうなることかと思いましたが、三が日の夜になんだかんだ実家で楽しくお酒を飲みながら過ごしていると、気持ちもまた明るくなっていったそうです。
それに、あの時飲んだサークルの仲良しグループの面々から、メッセージアプリのグループチャットに「年明けに旅行に行ってきた~!」「うちのおせち見てください!」など、他愛のない楽しそうな写真が次々と送られてくるのを見ていると、あの日の出来事が本当に起こったのかさえ怪しく思えました。
翌朝、Sさんはカーテンからチラチラと差し込む朝の光で目を覚ましました。
シンと透き通った冷たい田舎の冬の空気。
「痛ッ……!」
ベッドから起き上がろうとした瞬間にズキリと痛む頭。昨晩飲みすぎて倒れるように寝ていたことを思い出し、時間を確かめようとスマホを手に取りました。
「もう15時じゃん……」
ふと、メッセージアプリに数十件のメッセージが来ていることに気がついたのです。










