諏訪湖祭湖上花火大会(長野県)

水上花火(すいじょうはなび):この湖上には、広範囲にわたって湖畔沿いに杭が打ちこまれています。その上には丸い花 火玉が設置されているのです。だから、諏訪湖祭では水面で開くのに「水中花火」とはいわず「水上花火」といいます。「水中花火」は水中に投げ込まれますか ら扇形に開きますが、諏訪湖の「水上花火」は杭の上で開くので日本一綺麗な半球状に開くのです。

 諏訪湖祭湖上花火大会は、その名のとおり長野県の諏訪湖を舞台とした湖上の花火大会で、花火の打ち上げ場所は、「初島」というこの大会のために作られた人工島を中心に設営されています。空気が澄んでいるため、花火がとても綺麗に見えます。

 この大会の素晴らしさは花火の玉の開く美しさを丁寧に見せてくれるところにあります。

 プログラムは前半の競技花火と、後半のスターマインの二部構成になっており、どちらのプログラムも日本花火の素晴らしさを十分に堪能させてくれます。前半の競技花火は、地元長野県を中心とする約10社の煙火店による、10号玉の割物とスターマインの競演。後半は超豪華なスターマインのオンパレードです。特に、水上で開くスターマインは見逃せません。諏訪湖祭ではこれを「水上花火」と呼びます。

 みごとな半円で次々に花開いていくさまは、思わず息をのむほどに優美です。そして、その美しい花火がキスをするというのです。花火が湖畔を移動しながら次々に開いていき……やがては、花火同士が湖上で出会い、触れ合います。これが「Kiss of Fire」と呼ばれている演出ですが、とてもロマンチックで一度見たらきっと大ファンになることでしょう。

 1949年(昭和24年)に、戦後の復興を願い始められた花火大会ですが、静岡県の三ヶ日の水上花火とともに、日本一美しい水上花火大会です。

大会概要
【大会名称】 諏訪湖祭湖上花火大会
【開催場所】 長野県諏訪市湖畔公園前諏訪湖上
【観覧席】 有料観覧席あり(要予約)
【アクセス】 JR中央本線上諏訪駅下車諏訪湖方面へ徒歩8分
【URL】 http://www.suwako-hanabi.com/kojyou/
【問い合わせ】 諏訪湖祭実行委員会(諏訪市観光課内)
      TEL:0266-52-4141

泉谷玄作(いずみや げんさく)
写真家。1959年 秋田県に生まれる。花火の撮影をライフワークとする。現代美術作家、蔡國強(Cai Guo-Qiang)氏の依頼で、2002年MoMA(ニューヨーク近代美術館)主催の「動く虹」の花火や、2003年ニューヨークセントラルパーク150周年記念の「空の光輪」の花火などを撮影。著書に、『心の惑星-光の国の物語』(クレオ)、『日本列島 四季の花火百華』(日本カメラ社)、『静岡県ふくろい遠州の花火』(日本カメラ社)、『花火の図鑑』(ポプラ社)、『花火の大図鑑』日本煙火協会/監修 (PHP研究所)、『日本の花火はなぜ世界一なのか?』(講談社+α新書)など、花火に関するもの多数。日本写真家協会会員。

2014.07.15(火)
文・撮影=泉谷玄作